迷惑をかけたくない、という迷惑

コミュニケーション

「迷惑をかけたくない」
「人に迷惑をかけないように努力しています」

そういう人に会うことがあります。

できるだけ迷惑をかけないようにすることは、大切なことでもあります。

ただ、少し考えてみると、どんなに迷惑をかけないように努力しても、私たちは案外、自分が気づいていないところで人に迷惑をかけているものです。

では、私はどんな迷惑をかけているのでしょうか。

おそらく、自分では気づかないところで、たくさんかけているのだと思います。

自分で「ああ、迷惑をかけてしまったな」と感じる場面は、むしろ大した迷惑ではないこともあります。

逆に、「これは迷惑をかけられたな」と思うときには、相手はそのことにまったく気づいていないこともあります。

「大変申し訳ありませんでした」と一生懸命謝ってくれるけれど、こちらとしては「いやいや、そんなに謝らなくても……」ということもあります。

場合によっては、その謝罪を受け続けることのほうが、よほど迷惑だったりします。

そして、もう一つ困ったことがあります。

「自分は人に迷惑をかけないようにしよう」と一生懸命努力している人ほど、他人から迷惑をかけられたときに、強い怒りを感じることがあります。

「私はこんなに気をつけているのに、どうしてこの人は気をつけないのだろう」

そう思ってしまうのです。

しかし、そもそも人は、お互いに迷惑をかけながら生きています。

私も知らないうちに誰かに迷惑をかけていますし、誰かも知らないうちに私に迷惑をかけています。

それを完全になくすことはできません。

「そうなのだ。仕方がないのだ」

そう思っていると、他人の迷惑も、少し受け入れやすくなります。

もちろん、何でも我慢しなければならないという話ではありません。

本当に困るのであれば、

「それは迷惑なので、やめてください」

と言えばいいのです。

相手に迷惑をかけないように、自分を完全に管理する必要もありません。

他人にも、完璧に迷惑をかけないことを求めなくてよいのです。

「迷惑をかけたくない」
「迷惑をかけないように努力する」

そんなことを一生懸命やっていると、かえって人との関係が窮屈になることがあります。

どうせ私たちは、知らず知らずのうちに迷惑をかけています。

そして、知らず知らずのうちに、誰かの迷惑も受けています。

それくらいで、ちょうどいいのかもしれません。

「迷惑をかけないようにしなくては」と頑張るのを、少しやめてみる。

それも、人と一緒に生きていくための一つの方法ではないでしょうか。

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