日常

トレイルレースのボランティアに参加して気づいたこと

先日、群馬県藤岡市鬼石で開催されたトレイルレースに、ボランティアスタッフとして参加しました。普段は選手として走ることが多いのですが、トレイルランニングを続ける中で、ボランティアとして関わることにも、別の面白さがあると感じるようになりました。...
人間・社会

「私が私であり続けるために、変わり続ける」——生物に宿るパラドックス

私たちの体は、じっとしているように見えて、実は静かに作り替えられています。皮膚の細胞は数週間で入れ替わり、腸の粘膜は数日で生まれ変わる。細胞そのものが変わらなくても、その中のタンパク質や分子は、日々壊され、また作られています。生命とは、破壊...
日常

「上がらなくなった心拍」——静かに進む変化を感じる

このところ、走っていて不思議な変化を感じています。9kmのペース走を4分20秒/kmで走っても、心拍が135〜140しか上がらなくなりました。少し前までは150台だったのに、です。呼吸も乱れず、余裕をもって走れてしまう。最初は、「疲れている...
仁泉堂医院

冬のはじまりに思うこと

冬になると、診療が始まる前に、ふと不安になることがあります。「今日一日、診療をやり切れるだろうか」——そんな、根拠のない心許なさです。特に何か気掛かりなことがあるわけでもない。けれど、夏のあいだは意識せずにスタートを切れていたのに、この時期...
仁泉堂医院

与えないことの意味 〜ともに作業をするという心理療法〜

仁泉堂では、薬も診断書も出しません。それは、「与えること」が人の自然な回復の力を覆い隠してしまうことがあるからです。薬や診断、助言や慰めといった“与える行為”は、一見すると優しさや支援のように見えます。けれども、その背後には「与える側」と「...
仁泉堂医院

行動の中から生まれるもの

仁泉堂で続けている「清掃セラピー」は、もともと私と患者さんとの診察の中での対話から生まれました。「一緒に何か体を動かすことをしてみたい」という話がきっかけで、外に出て掃除をしてみようという流れになりました。やってみると、不思議なもので、掃除...
日常

ぐんまマラソン10km 自己ベスト更新のご報告

11月3日に開催された「ぐんまマラソン10kmの部」に出場し、39分43秒で自己ベストを更新しました。10kmを40分を切って走りきる――これは、半年前にはまだ遠い目標でした。レースでは、最初の1kmを落ち着いて入り、前半は1kmあたり4分...
人間・社会

「しない」と言える静かな強さ

「できるけど、しない」という言葉を聞くと、それをただの“言い訳”や“逃避”のように感じる人もいるかもしれません。しかし、ここで言いたいのは、口先の宣言ではなく、内側にある確かな感覚のことです。「しない」と言えるためには、「できる」が必要本当...
人間・社会

「社会に適応できない」と言われる人たちへ ― 「できない」ではなく「しない」という見方

前回の記事では、「できるけど、しない」という生き方の大切さについて考えました。今回は、その考えを「社会に適応できない」と言われる人たちの問題に当ててみたいと思います。「適応できない」とは、誰の視点か発達症のある方や、いわゆる「社会に馴染めな...
人間・社会

「できない」ではなく、「しない」という自由

以前、「“できない”という言い方をやめてみよう」というテーマでブログを書いたことがあります。たとえば「朝起きられない」というのは、実際には「起きようと思えば起きられるけれど、起きないでおこうと選んでいる」という行動の問題として見ることができ...
仁泉堂医院

冬のはじまりに思うこと

冬になると、診療が始まる前に、ふと不安になることがあります。「今日一日、診療をやり切れるだろうか」——そんな、根拠のない心許なさです。特に何か気掛かりなことがあるわけでもない。けれど、夏のあいだは意識せずにスタートを切れていたのに、この時期...
仁泉堂医院

与えないことの意味 〜ともに作業をするという心理療法〜

仁泉堂では、薬も診断書も出しません。それは、「与えること」が人の自然な回復の力を覆い隠してしまうことがあるからです。薬や診断、助言や慰めといった“与える行為”は、一見すると優しさや支援のように見えます。けれども、その背後には「与える側」と「...
仁泉堂医院

行動の中から生まれるもの

仁泉堂で続けている「清掃セラピー」は、もともと私と患者さんとの診察の中での対話から生まれました。「一緒に何か体を動かすことをしてみたい」という話がきっかけで、外に出て掃除をしてみようという流れになりました。やってみると、不思議なもので、掃除...
人間・社会

「できない」ではなく、「しない」という自由

以前、「“できない”という言い方をやめてみよう」というテーマでブログを書いたことがあります。たとえば「朝起きられない」というのは、実際には「起きようと思えば起きられるけれど、起きないでおこうと選んでいる」という行動の問題として見ることができ...
仁泉堂医院

薬を「なるべく使わない治療」と「全く使わない治療」の違い

薬はなるべく使いたくない——そう考える患者さんや医師は少なくありません。実際、薬の使用を最小限にとどめ、自然な回復力を生かしたいという願いは、誰にとっても共感できるものです。しかし、治療が行き詰まったとき、医師も患者も、つい薬に意識が向いて...
仁泉堂医院

メディカルランナーとしての10kmレース

本日、10kmのレースにメディカルランナーとして出場しました。コース上では、途中2名のランナーが道の横に逸れて歩いているのを見かけ、体調を確認しました。幸い、お二人とも「歩けば回復できそう」とのことだったので、そのまま走り続けました。医療者...
仁泉堂医院

他人のために尽くすときに忘れてはいけないこと

「子どものために」「家族のために」「困っている人のために」――そう思うと、人は驚くほどの力を発揮します。子どもの弁当を作るために早起きしたり、職場で身を粉にして働いたり、そうした姿は一見美談として語られます。けれども、その一方で、自分の食事...
仁泉堂医院

助言をどう受け取るか

診療の場で、行動の改善点をお伝えするとき、しばしば次のような反応があります。「それはできません」と、行動を回避する「自分は悪くない」と、正当性を主張する運動や栄養の指導をしても、一度試しただけで「効果がなかった」と結論づける指示通りにやった...
仁泉堂医院

都合の良い情報だけを信じていませんか?

診察をしていると、患者さんがインターネットで得た情報を持って来られる場面によく出会います。今は、賛否両論や相反する研究報告に誰でもアクセスできる時代です。それ自体はとても良いことなのですが、注意が必要だと感じることもあります。というのも、人...
仁泉堂医院

シューズと人間の力

ランニングをする時、みなさんはどのようなシューズを選ぶでしょうか。クッション性が高く衝撃をしっかり吸収してくれるタイプもあれば、サポートを最小限にとどめ、足裏に路面の感覚をそのまま伝えてくれるタイプもあります。私は後者、つまりクッションの少...
日常

トレイルレースのボランティアに参加して気づいたこと

先日、群馬県藤岡市鬼石で開催されたトレイルレースに、ボランティアスタッフとして参加しました。普段は選手として走ることが多いのですが、トレイルランニングを続ける中で、ボランティアとして関わることにも、別の面白さがあると感じるようになりました。...
日常

「上がらなくなった心拍」——静かに進む変化を感じる

このところ、走っていて不思議な変化を感じています。9kmのペース走を4分20秒/kmで走っても、心拍が135〜140しか上がらなくなりました。少し前までは150台だったのに、です。呼吸も乱れず、余裕をもって走れてしまう。最初は、「疲れている...
仁泉堂医院

冬のはじまりに思うこと

冬になると、診療が始まる前に、ふと不安になることがあります。「今日一日、診療をやり切れるだろうか」——そんな、根拠のない心許なさです。特に何か気掛かりなことがあるわけでもない。けれど、夏のあいだは意識せずにスタートを切れていたのに、この時期...
日常

ぐんまマラソン10km 自己ベスト更新のご報告

11月3日に開催された「ぐんまマラソン10kmの部」に出場し、39分43秒で自己ベストを更新しました。10kmを40分を切って走りきる――これは、半年前にはまだ遠い目標でした。レースでは、最初の1kmを落ち着いて入り、前半は1kmあたり4分...
日常

眠れない朝に

最近は、朝、布団から出づらい日が続いていました。気づけば外はまだ暗く、もう少し寝ていたいなと思うことが多いです。今朝は、なぜか4時前に目が覚めてしまいました。もう一度眠ろうとしましたが、どうにも眠れず、思い切って起きてみることにしました。外...
日常

相性が良すぎるということ

私はトレイルランニングシューズの中で、〈アルトラ・ローンピーク9+〉が飛び抜けて相性が良いと感じています。足を入れた瞬間から、自分の体の一部になったかのような一体感があり、自然と前に進める感覚があります。ただし、ソールが浅めなため、岩の尖り...
日常

冬の眠気と重たさを受け入れながら

最近は、睡眠時間にかかわらず、毎日とにかく眠くて仕方がありません。朝も眠いし、昼にもついウトウトしてしまいます。気温が急に下がってきたこともあり、いよいよ私の苦手な冬の季節がやってきたようです。今日は非常勤先の病院での宿直明けでした。午前中...
日常

障害物は、人生の一部としてあるもの

トレイルを走っていて、横に伸びていた太い枝に頭を思い切りぶつけたことがある。「しまったなあ」と思いつつ、そのまま通り過ぎた。もしこれが街中だったらどうだろう。工事現場の鉄パイプに頭をぶつけたなら、「頭上注意の札くらい付けておいてよ」と不満の...
日常

自分の実力を知るということ

昨日、トレイルランニング専門店・トレイルヘッド伊勢崎ベースのオーナー・高田さんと、上州武尊山のレースを一緒に振り返る機会がありました。話の中で、私が「前半はあえて予定より速く走らないようにしている」と伝えると、高田さんはこう言いました。「佐...
仁泉堂医院

メディカルランナーとしての10kmレース

本日、10kmのレースにメディカルランナーとして出場しました。コース上では、途中2名のランナーが道の横に逸れて歩いているのを見かけ、体調を確認しました。幸い、お二人とも「歩けば回復できそう」とのことだったので、そのまま走り続けました。医療者...
仁泉堂医院

行動の中から生まれるもの

仁泉堂で続けている「清掃セラピー」は、もともと私と患者さんとの診察の中での対話から生まれました。「一緒に何か体を動かすことをしてみたい」という話がきっかけで、外に出て掃除をしてみようという流れになりました。やってみると、不思議なもので、掃除...
人間・社会

「しない」と言える静かな強さ

「できるけど、しない」という言葉を聞くと、それをただの“言い訳”や“逃避”のように感じる人もいるかもしれません。しかし、ここで言いたいのは、口先の宣言ではなく、内側にある確かな感覚のことです。「しない」と言えるためには、「できる」が必要本当...
森田療法

パラドックスの力 ― 徹底の果てに見えるもの

世の中には、一見すると矛盾しているように見えて、実は深い真理を含んでいる現象があります。いわゆる「パラドックス(逆説)」です。入院森田療法の「絶対臥褥」も、その代表例でしょう。患者は動くことを禁じられ、ただ横になって過ごします。一見、非生産...
森田療法

「熟睡信仰」にとらわれない

「熟睡できなかった次の日は眠い、熟睡できればスッキリ起きられる」そう信じている人は多いように思います。けれど私自身は、熟睡できた翌日の午前中ほど、むしろ眠気を感じることがよくあります。それでも、仕事の能率が落ちるわけではありません。体はまだ...
森田療法

流れに導かれて動くとき

先日、森田療法学会に参加してきました。発表のことはひとまず置いておいて、印象に残ったのは、学会懇親会で偶然隣に座った先生との出会いでした。話題は「内発的な行動は、どのように生じるのか?」というテーマ。お互いの臨床経験をもとに議論が盛り上がり...
仁泉堂医院

他人のために尽くすときに忘れてはいけないこと

「子どものために」「家族のために」「困っている人のために」――そう思うと、人は驚くほどの力を発揮します。子どもの弁当を作るために早起きしたり、職場で身を粉にして働いたり、そうした姿は一見美談として語られます。けれども、その一方で、自分の食事...
仁泉堂医院

助言をどう受け取るか

診療の場で、行動の改善点をお伝えするとき、しばしば次のような反応があります。「それはできません」と、行動を回避する「自分は悪くない」と、正当性を主張する運動や栄養の指導をしても、一度試しただけで「効果がなかった」と結論づける指示通りにやった...
日常

子どもの頃の「残り掃除」の思い出から

私が小学生だった頃、昼休みに「掃除の時間」がありました。教室や家庭科室、廊下など、班ごとに持ち場が割り当てられていたのです。ある日、私の班が担当したのは校庭の掃除でした。同じ班の少年と、ゴミ拾い用のトングを竹刀に見立ててチャンバラを始めてし...
森田療法

第42回森田療法学会での発表のお知らせ

来る 10月4日、第42回森田療法学会 で発表することになりました。今回の開催地は札幌です。北海道は意外にも森田療法が盛んな地域であり、これからの森田療法を担う田所先生が大会長を務め、「症状を取ろう取ろうは、徒労です」で知られる芹澤先生、ユ...
森田療法

やめたとは言わない正直さ

「2ヶ月間、タバコを吸っていません。でも、やめたとは言いません。」診察の中で、ある方がそう語ってくれました。「やめた」と言ってしまえば、一生吸わないと未来を約束することになります。しかし未来のことは、誰にも保証できません。だからこそ、この方...
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