人間・社会

自分の課題と不安を引き受けるということ

私たちは日常の中で、家族や友人、さらにはニュースやSNSで話題になる著名人の出来事にまで関心を寄せることがあります。それ自体は自然なことですが、気づかないうちに「自分の課題」や「自分の不安」から目をそらし、他人の問題ばかりに意識を向けてしま...
森田療法

弱さと歩む、あるがままの生き方

ときどき患者さんから「先生は心が強いですね」と言われます。正直なところ、私は自分が特別に強いと思ったことはありません。強い部分もあれば、弱い部分もある。…それはきっと、誰にでもあることだと思います。だから、「私は弱いから、強い人に助けてもら...
日常

最近の動画編集事情と近況報告

7月以降、すっかり動画編集が滞ってしまっています。勉強会の様子もアップしたかったのですが、カメラの角度や録音状態がいまひとつで、つい先送りに…。院内のネットワーク管理や、森田療法学会の準備、そして今年のメインレース「上州武尊山スカイビュート...
日常

栃木トレーニングトレイルレース2025夏inみかも山に参加しました

先日、栃木トレーニングトレイルレースに参加しました。コースは3.8km・累積標高差240mを1周とし、それを6周走る設定です。今回は「1周ごとにラップを上げていくビルドアップ走」を計画していました。しかし、1周目から予定以上にペースを上げて...
日常

内側と外側の比較を両輪にした成長戦略

― 上州武尊 Sky View Trailに向けて ―私にとってトレイルランニングの魅力は、山を走る爽快感だけではありません。自分の中に眠っている力を、レースという舞台でどこまで引き出せるかを試すことに、大きな意味があります。その過程には、...
森田療法

マニュアルよりも、体得を大切に

最近、森田療法学会の中で、外来森田療法をマニュアル化しようという取り組みがあるようです。それ自体が悪いことだとは思いませんが、少しだけ気になることがあります。それは、マニュアルに従うこと自体が目的になってしまい、肝心の森田療法の本質が見えに...
精神医学・精神医療

統計よりも「誰がやるか」

たとえば、自分が外科手術を受けることになったとします。手術にはA法とB法があり、統計的にはA法の方が成功率が高い──そんな説明を受けたとき、あなたならどう考えるでしょうか。確かに、明らかに成功率の低い手術法は避けたいものです。でも、実際に手...
森田療法

【第200回】日記を書くという行動──私自身の実践から

森田療法では、日記を書くことが勧められます。理由はいくつかありますが、ひとつには「思考にとどまっていたものを、言葉として外に出す」という行動の第一歩になるからです。苦しさや不安が頭の中でぐるぐると回っているとき、それを書き出してみるだけで、...
日常

【挑戦と発見】赤城山トレイルランニングレースに参加しました

先週末、群馬県の赤城山で開催されたトレイルランニングレースに参加してきました。全長32km、累積標高差2000mを超える、本格的な山岳レースです。目標は5時間30分以内の完走。そのために、各ポイントでの通過予定時刻を事前に計算し、当日はその...
人間・社会

「働かない同僚が許せない」と思ったときにできること

同じ職場で働くなかで、「自分よりも働いていないのに、同じ給料をもらっている同僚がいる」――そんな状況に、モヤモヤしたり、イライラした経験がある方は少なくないと思います。その気持ちは、とても自然なものです。「もっとこうしてほしい」と思うことも...
人間・社会

自分の課題と不安を引き受けるということ

私たちは日常の中で、家族や友人、さらにはニュースやSNSで話題になる著名人の出来事にまで関心を寄せることがあります。それ自体は自然なことですが、気づかないうちに「自分の課題」や「自分の不安」から目をそらし、他人の問題ばかりに意識を向けてしま...
森田療法

弱さと歩む、あるがままの生き方

ときどき患者さんから「先生は心が強いですね」と言われます。正直なところ、私は自分が特別に強いと思ったことはありません。強い部分もあれば、弱い部分もある。…それはきっと、誰にでもあることだと思います。だから、「私は弱いから、強い人に助けてもら...
森田療法

マニュアルよりも、体得を大切に

最近、森田療法学会の中で、外来森田療法をマニュアル化しようという取り組みがあるようです。それ自体が悪いことだとは思いませんが、少しだけ気になることがあります。それは、マニュアルに従うこと自体が目的になってしまい、肝心の森田療法の本質が見えに...
森田療法

【第200回】日記を書くという行動──私自身の実践から

森田療法では、日記を書くことが勧められます。理由はいくつかありますが、ひとつには「思考にとどまっていたものを、言葉として外に出す」という行動の第一歩になるからです。苦しさや不安が頭の中でぐるぐると回っているとき、それを書き出してみるだけで、...
仁泉堂医院

【開催報告】第1回 森田療法勉強会を行いました

先日、当院にて第1回 森田療法勉強会を開催しました。今回は会場の都合により6名限定での開催となりましたが、参加希望の声は多く、今後も継続して開催していく予定です。今回ご参加いただけなかった方も、ぜひ次回以降にご期待ください。テーマ:「事実本...
森田療法

あなたの“心のアプリ”、重くなっていませんか? 〜行動が自然に整えてくれる〜

スマートフォンやパソコンを使っていて、こんな経験はありませんか?「アプリを立ち上げた途端に動きが悪くなる」「いつも使っているアプリが、最近やたらと重い」「フリーズして、何もできない」原因はいくつかありますが、多くの場合は、アプリがその端末に...
森田療法

セラピストに求められる「自己一致」とは──森田療法とロジャースの視点から

カウンセリングや心理療法の世界では、「自己一致」という言葉がよく使われます。これは、専門的な用語ですが、実は私たちの日常にも深く関わっているものです。「自己一致」とは?自己一致(じこいっち)とは、簡単に言えば、「自分の中にある気持ちや考えを...
森田療法

「本音」と「建前」のあいだで

前回の記事では、「正論」には二種類あるという話をしました。ひとつは社会的な価値観に基づく正しさ、もうひとつは自然や論理に基づく正しさ。今回は、そのうち社会的な価値観と深く関わる、日本独特の概念、「本音と建前」について考えてみたいと思います。...
人間・社会

「正論」とどう付き合うか

「それは正論だけどさ……」誰かにそう言われたこと、あるいは自分でそう思ったことはありませんか?「正論」という言葉は、本来は筋の通った主張を意味します。けれど現実の会話では、なぜか否定的な文脈で使われることが多いものです。たとえば「正論を振り...
森田療法

それでも、生きる理由

人間には不思議なところがあります。誰もが「自分はいずれ死ぬ」ということを知っているのに、それでも毎日を生き続けています。自分がいなくなっても、この世界は何事もなかったかのように続いていく。自分の人生も、いつか終わる。そう頭ではわかっているの...
人間・社会

赤城山トレイル試走記|現実を知り、挑戦する走りへ

試走の目的は「守り」ではなく「攻める」ため先日、トレイルランニングの練習チームの仲間と一緒に、4人で赤城山トレイルランニングレース(32km)の試走を行いました。試走の最大の目的は、「リスクを避ける」ためだけではありません。リスクを最小限に...
森田療法

「あるがままを生きる」とは?──mindではなく、soulに近づく生き方

「自分らしく生きたい」「もっと自然に生きたい」——そんな思いを抱く人は多いと思います。けれど、それを実現するのは簡単ではありません。なぜなら、私たちは日々の暮らしの中で、知らず知らずのうちに「こうあるべきだ」「こうすれば人に認められる」とい...
ダイエット

「壊して、つくる」──身体は分子レベルで日々、生まれ変わっている

私たちの身体は、毎日少しずつ壊れ、そして新しく作り直されています。この営みは「新陳代謝」と呼ばれ、筋肉や骨、皮膚、血液などの組織では、細胞レベルでの世代交代も行われています。けれども、すべての組織で細胞が入れ替わるわけではありません。たとえ...
人間・社会

「動物園の動物」と「野生の動物」──神経症との意外な関係

私は時折、動物園で暮らす動物たちを眺めながら、「この子たちは幸せなんだろうか?」と、思うことがあります。餌ももらえる、天敵にも襲われない、医療も整っている。それでも、彼らの目がどこか遠くを見つめているように感じるのは、私だけでしょうか。■ ...
森田療法

我選ぶ、ゆえに我あり──「私」を取り戻す選択の力

哲学者デカルトは、「我思う、ゆえに我あり(Cogito ergo sum)」という言葉を残しました。「考えている私の存在は否定し得ない」――思考によって自我を証明するこの言葉は、とても有名です。ですが私は、森田療法を土台としながら自然適応療...
自然適応療法

自分の暮らしを整える力──薬に頼る前にできること

眠れない、体が重い、なかなか痩せない――こうした不調を感じるとき、薬での解決を考える方も多いかもしれません。けれど、ちょっと立ち止まって、自分の暮らしを見つめ直してみることで、体は自然に整っていくこともあります。不調は「暮らしの声」私たちの...
森田療法

「生き方」を見つめ直す勇気 〜心の回復のために〜

精神科を訪れる方々と日々向き合っていると、「今のままの生き方を変えたくない」という強い気持ちに触れることがあります。これは一見すると「頑固さ」とも感じられるのですが、よくよく話を聞いてみると、それまでの人生で培ってきた信念や価値観に深く根ざ...
日常

鉢植えのアジサイと庭のアジサイ――回復のヒント

連休が明けてふと鉢植えのアジサイを見ると、花や葉がしおれていました。どうやら水やりを忘れてしまったようで、負担をかけてしまったようです。慌てて水をあげると、少しずつ元気を取り戻してくれましたが、それでも季節が進めばやがて花は朽ちていくでしょ...
仁泉堂医院

“このままでいいのか?”が、はじまりだった

人は誰しも、自分なりの「正しさ」を持っているものです。そして、その正しさがまわりの人たちと一致しているかどうか、つまり「多数派かどうか」を気にしてしまうことも少なくありません。けれど、本当に大切なのは、今この現実に向き合いながら、自分の中の...
自然適応療法

学び方はひとつじゃない──自然な選択が子どもを育てる

あるお子さんが、集団での学習が難しく、特別支援学級を利用していました。ところが、その支援学級の人数が15人を超えると、そこにも通えなくなってしまいました。支援学級は本来、一人ひとりに合った学びを保障する場所のはずです。しかし現実には、別の集...
森田療法

「ひっぱってもらう」ということ 〜ランニングと森田療法に通じる力の引き出し方〜

最近、トレイルランニングチームでの練習に参加しています。学生時代はラグビーに打ち込んでいましたが、陸上競技の経験はありません。そんな私にとって、ランニングは未知の世界であり、毎回が新しい挑戦です。「ひっぱってもらう」と出せる力がある陸上の練...
ダイエット

「自分のカラダ」と向き合う——独自の工夫と科学のバランス

トレイルランニングの仲間と話していると、食事や栄養にあまり気を配らなくても、驚くほど引き締まった体を維持している人がいます。体脂肪率も低く、パフォーマンスも安定している。そんな姿を見ると、「あれ?自分は何をそんなに気にしているんだろう」と、...
森田療法

障害物があるのが普通、それが人生のデフォルト

最近、人と話していると、「ストレスが多くて疲れる」「こんなにうまくいかないなんて…」といった言葉をよく耳にします。そんなとき、「そもそも、人生には障害物がないのが普通」だと思っている方が意外と多いのかもしれないと感じることがあります。けれど...
日常

暑熱馴化は必要ですが、やりすぎ注意!

暑熱馴化(しょねつじゅんか)とは?暑さに慣れるために、計画的に暑い環境で運動を行い、発汗が早くなる体温が上がりにくくなる電解質を効率よく保てるといった体の適応反応を促すプロセスです。夏場のトレーニングやレースを安全に乗り切るために、とても大...
仁泉堂医院

心のトレーニングにも「チーム分け」があるとしたら?

毎週、私はランニングの練習会に参加しています。自分のその日の体力や調子に合わせてチームが分かれていて、それぞれ決められたペースで走るスタイルです。A〜Cのチームに分かれ、ペース走やビルドアップ、インターバルなどのメニューをこなしていきます。...
日常

ツツジ咲く赤城山で感じた、もうひとつの爽快感

週末は、赤城山でハイキングをしてきました。歩いたルートは、長七郎山、地蔵岳、鈴ヶ岳、出張山、薬師岳、陣笠山をめぐる約16kmのトレイル。赤城らしい起伏に富んだ道のりを、普段より時間をかけつつも、しっかりと歩きました。ちょうどツツジが咲き始め...
運動

走れるだけじゃ足りなかった!?ラグビーで気づいた体の使い方

週末、久しぶりにラグビーの試合に出場しました。といっても一年に数回だけ結成される、医学部ラグビー部のOBチームの一員として、7人制ラグビー、いわゆる「セブンズ」の大会に参加したのです。メンバーは26歳から58歳まで。年齢の幅はまるで三世代に...
日常

水沢山最速タイムと、山で出会った“人生の先輩”

先日、1ヶ月ぶりに水沢山に登りました。天気は曇りでしたが、ひんやりとした穏やかな気候でした。日々のランニングやトレーニングの成果もあって、今回は駐車場から頂上まで35分。これまでで一番のタイムで登ることができ、素直に嬉しく感じました。下山時...
精神医学・精神医療

暗闇だから見えた、一歩の大切さ ― トレイルと心の共通点

先が見えないことは、不安かもしれない。でも、見えないからこそ、心が折れずに進めることがある――。真っ暗な山道を走り続けたレースの中で、私は大切なことに気づきました。先月、私はトレイルランニングレース「Mt.FUJI 100 KAI 70K」...
仁泉堂医院

アスリートのメンタルケアと神経症治療の共通点

人間の心は、しばしば現実を歪めて捉えてしまいます。神経症の患者さんは、「起きてもいないこと」を恐れ、「変えられないもの」をなんとか変えようと焦ります。そしてその努力が、かえって不安を強め、心を疲弊させていくのです。同じことが、アスリートの世...
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