仁泉堂医院

「場を整えるという仕事 」 — では何をしているのか

前回、仁泉堂では、医師が患者さんに薬や診断、考えの方向性を与えない、という話を書きました。では、何も与えないのだとしたら、ここではいったい何をしているのでしょうか。私は、自分の役割を「場の管理者」だと考えています。人生が「選択する行為」だと...
仁泉堂医院

「施さない医療という選択」— なぜ与えないか

私は、森田療法を「医師が患者さんに施す治療」だとは考えていません。森田療法は、誰かに何かをしてもらうことで良くなっていくものではなく、本来は、自分自身に向けて行われるものだと思っています。私自身、日々の生活や仕事の中で、不安や違和感を抱えな...
仁泉堂医院

選ぶ行為そのものが、人生である

私たちはつい、「選んだ結果」で人生を振り返ろうとします。あの進路を選んだから今がある、あの決断が成功だった、失敗だった――人生を一つの物語として整理しようとする見方です。けれど最近、私はこう考えるようになりました。人生とは、選んだ結果ではな...
森田療法

「好きではない」と言ってみる

感情・感覚に沿って言葉を選ぶこれまで私は、「よい・悪い」よりも「好き・嫌い」を大切にしよう、ということを書いてきました。ただ、「好き」「嫌い」という言葉は、ときに強く響きすぎることもあります。英語でも、I hate it. よりもI don...
日常

“どこでもドア”があったら、どこへ行きますか

11月に野外救急法の実習に参加しました。初日、参加者全員が自己紹介カードを書き、掲示板に貼りました。その中に、こんな質問がありました。「ドラえもんのどこでもドアがあったら、行きたい場所は?」南極、月、秘境。他の人の答えを眺めていると、どれも...
ダイエット

運動しても体重は減らない ― 記録を再開して気づいた現実

記録をやめると、現実からも離れていく-20kgを超える減量に取り組んでいた頃、食事の記録には「あすけん」というアプリを使っていました。当時は、何をどれだけ食べたかを淡々と記録することが、日常の一部になっていました。ところが最近は、週60km...
仁泉堂医院

なぜ仕事の相談で、朝食の話をするのか

会社で仕事が重なり、「やる気が出ない」「もう休みたい」そう訴える患者さんに出会うことは、決して珍しいことではありません。仕事の量や内容は、いつも同じではありません。比較的余裕のある時期もあれば、同時にいくつもの案件を抱えざるを得ない時期もあ...
日常

あの受験勉強は、失敗だったのだろうか

受験の季節に思い出す、自分の大学受験今年も、若者たちの受験の季節がやってきました。この時期になると、ふと自分の大学受験のことを思い出します。医学部受験は理系に分類され、数学、英語、理科(物理・化学)が中心でした。加えて、当時のセンター試験(...
仁泉堂医院

心のランニングフォームと心のランニングエコノミー

ひとつの動きだけを繰り返すトレーニングを続けていると、使われない筋肉が固まり、やがて全体の動きが重くなっていきます。心もそれとよく似ています。同じ職場、同じ役割、同じ人間関係の中に居続けていると、心の使われ方が偏っていきます。ある側面ばかり...
運動

関節が動けば、フォームは変わる

関節の動きをスムーズにすることは、単なる「柔軟運動」とは少し違います。関節は一つの筋肉で動いているわけではなく、いくつもの筋肉がチームのように関わっています。その中には、普段ほとんど使われていない筋肉もあります。そして、使われていない筋肉ほ...
仁泉堂医院

「場を整えるという仕事 」 — では何をしているのか

前回、仁泉堂では、医師が患者さんに薬や診断、考えの方向性を与えない、という話を書きました。では、何も与えないのだとしたら、ここではいったい何をしているのでしょうか。私は、自分の役割を「場の管理者」だと考えています。人生が「選択する行為」だと...
仁泉堂医院

「施さない医療という選択」— なぜ与えないか

私は、森田療法を「医師が患者さんに施す治療」だとは考えていません。森田療法は、誰かに何かをしてもらうことで良くなっていくものではなく、本来は、自分自身に向けて行われるものだと思っています。私自身、日々の生活や仕事の中で、不安や違和感を抱えな...
仁泉堂医院

選ぶ行為そのものが、人生である

私たちはつい、「選んだ結果」で人生を振り返ろうとします。あの進路を選んだから今がある、あの決断が成功だった、失敗だった――人生を一つの物語として整理しようとする見方です。けれど最近、私はこう考えるようになりました。人生とは、選んだ結果ではな...
仁泉堂医院

なぜ仕事の相談で、朝食の話をするのか

会社で仕事が重なり、「やる気が出ない」「もう休みたい」そう訴える患者さんに出会うことは、決して珍しいことではありません。仕事の量や内容は、いつも同じではありません。比較的余裕のある時期もあれば、同時にいくつもの案件を抱えざるを得ない時期もあ...
仁泉堂医院

心のランニングフォームと心のランニングエコノミー

ひとつの動きだけを繰り返すトレーニングを続けていると、使われない筋肉が固まり、やがて全体の動きが重くなっていきます。心もそれとよく似ています。同じ職場、同じ役割、同じ人間関係の中に居続けていると、心の使われ方が偏っていきます。ある側面ばかり...
仁泉堂医院

第4回 屋外清掃セラピーを終えて ―「今ここ」で生きる体験

昨日、第4回の屋外清掃セラピーを行いました。午前10時にクリニック前に集合。天候の影響もあって、今回の参加者は私を含めて3名と少人数でしたが、その分、密度の濃い時間になりました。強い風の中、前回とは違うコースを歩きながらゴミ拾いを開始。BB...
仁泉堂医院

ある二つのスマホ相談窓口の話

スマホ相談窓口「仁」スマホの相談窓口「仁」には、「思った通りに動かないんです」という相談が毎日のように届く。実際に話を聞いてみると、その多くは深刻な故障ではない。まず多いのは、使い方の問題だ。画面のどこを押せばよいのか、どの順番で操作すれば...
仁泉堂医院

2026年、自然にしたがって走る

昨年を振り返ると、走力という点では、これまででいちばん手応えのある一年だったように思います。チームトレイルヘッド大和練でのポイント練習やトレイル練習に加え、関節可動域トレーニング、自主練習時間の増加。派手なことをしたわけではありませんが、積...
人間・社会

ネコに比べて、人間は本当に賢いのか

ある日の診察で、患者さんからこんな質問を受けました。「先生、そんなに気まぐれに生きていて良いのでしょうか?」その方は、周囲に合わせられない自分を責め、「一貫性がない」「人として未熟なのではないか」と感じていました。私は少し間をおいて、こう聞...
仁泉堂医院

タイパ社会が生み出す心の不調

「タイパ」「コスパ」という言葉が、すっかり日常に定着しました。できるだけ短時間で、無駄なく、便利に。仕事でも生活でも、その姿勢が良しとされる時代です。けれど私は、一見すると無駄に見える時間や、不便さの中にこそ、心の豊かさが育つと感じています...
日常

“どこでもドア”があったら、どこへ行きますか

11月に野外救急法の実習に参加しました。初日、参加者全員が自己紹介カードを書き、掲示板に貼りました。その中に、こんな質問がありました。「ドラえもんのどこでもドアがあったら、行きたい場所は?」南極、月、秘境。他の人の答えを眺めていると、どれも...
ダイエット

運動しても体重は減らない ― 記録を再開して気づいた現実

記録をやめると、現実からも離れていく-20kgを超える減量に取り組んでいた頃、食事の記録には「あすけん」というアプリを使っていました。当時は、何をどれだけ食べたかを淡々と記録することが、日常の一部になっていました。ところが最近は、週60km...
日常

あの受験勉強は、失敗だったのだろうか

受験の季節に思い出す、自分の大学受験今年も、若者たちの受験の季節がやってきました。この時期になると、ふと自分の大学受験のことを思い出します。医学部受験は理系に分類され、数学、英語、理科(物理・化学)が中心でした。加えて、当時のセンター試験(...
日常

ランニングフォームに「正解」はあるのか

私はランニングを始めて、約2年が経ちました。始めたばかりの頃は、自分のランニングフォームにずいぶん悩みました。YouTubeには「正しいフォーム」がいくつも紹介されていますが、どれを試してもしっくり来ず、長い距離を走るたびに足首や膝を痛めて...
日常

見知らぬ人を驚かせてしまった女の子

先日、ある店でトイレに入った。用を済ませてドアを開けた瞬間、小さな女の子が「わっ」と飛び出してきて、思わずこちらも驚いた。どうやらその子は、トイレに入っているお兄ちゃんを驚かせようとしていたらしい。ところが、出てきたのは見知らぬ大人だった。...
日常

人の手が加わっていないものを探す

部屋の中にいると、ほとんどすべてのものに人の手が加わっていることに気づく。家具、壁、照明、床。どれも誰かが設計し、作り、運び、配置したものだ。では外に出たらどうだろう。ベランダの鉢植えも、庭木も、人が植え、剪定している。森の木々でさえ、よく...
仁泉堂医院

2026年、自然にしたがって走る

昨年を振り返ると、走力という点では、これまででいちばん手応えのある一年だったように思います。チームトレイルヘッド大和練でのポイント練習やトレイル練習に加え、関節可動域トレーニング、自主練習時間の増加。派手なことをしたわけではありませんが、積...
仁泉堂医院

生き残るという感覚が教えてくれたもの ITJ2025③

このレースでは、リタイアする人が多く出るだろう。そう感じていたからこそ、「生き残ること」に価値を置くことができたのだと思う。もう一つ、大きな支えになっていたのが、普段一緒に練習している仲間たちの存在だった。実際にその場で応援してくれているわ...
仁泉堂医院

止まらないために、選び続けていたこと 〜 ITJ2025②

今回のレースで、私が最も意識していたのは低体温のリスクだった。雨に打たれ、体が冷え、もし脚が止まれば心拍が下がる。心拍が下がれば、体はさらに動かなくなる。その連鎖が始まれば、リタイアは現実的な選択肢になる。だから私は、常に心拍を120〜15...
仁泉堂医院

雨と寒さの中で、基準が変わった一日 〜 ITJ2025①

今回のブログでは、伊豆トレイルジャーニー(ITJ)での体験を、3回に分けて振り返ってみたい。華々しい結果やレースの攻略法ではなく、雨と寒さ、泥に覆われた環境の中で、何を考え、どのような判断を重ねていたのか。その感覚を言葉にしてみようと思う。...
仁泉堂医院

「場を整えるという仕事 」 — では何をしているのか

前回、仁泉堂では、医師が患者さんに薬や診断、考えの方向性を与えない、という話を書きました。では、何も与えないのだとしたら、ここではいったい何をしているのでしょうか。私は、自分の役割を「場の管理者」だと考えています。人生が「選択する行為」だと...
仁泉堂医院

「施さない医療という選択」— なぜ与えないか

私は、森田療法を「医師が患者さんに施す治療」だとは考えていません。森田療法は、誰かに何かをしてもらうことで良くなっていくものではなく、本来は、自分自身に向けて行われるものだと思っています。私自身、日々の生活や仕事の中で、不安や違和感を抱えな...
仁泉堂医院

選ぶ行為そのものが、人生である

私たちはつい、「選んだ結果」で人生を振り返ろうとします。あの進路を選んだから今がある、あの決断が成功だった、失敗だった――人生を一つの物語として整理しようとする見方です。けれど最近、私はこう考えるようになりました。人生とは、選んだ結果ではな...
森田療法

「好きではない」と言ってみる

感情・感覚に沿って言葉を選ぶこれまで私は、「よい・悪い」よりも「好き・嫌い」を大切にしよう、ということを書いてきました。ただ、「好き」「嫌い」という言葉は、ときに強く響きすぎることもあります。英語でも、I hate it. よりもI don...
仁泉堂医院

なぜ仕事の相談で、朝食の話をするのか

会社で仕事が重なり、「やる気が出ない」「もう休みたい」そう訴える患者さんに出会うことは、決して珍しいことではありません。仕事の量や内容は、いつも同じではありません。比較的余裕のある時期もあれば、同時にいくつもの案件を抱えざるを得ない時期もあ...
仁泉堂医院

第4回 屋外清掃セラピーを終えて ―「今ここ」で生きる体験

昨日、第4回の屋外清掃セラピーを行いました。午前10時にクリニック前に集合。天候の影響もあって、今回の参加者は私を含めて3名と少人数でしたが、その分、密度の濃い時間になりました。強い風の中、前回とは違うコースを歩きながらゴミ拾いを開始。BB...
人間・社会

ネコに比べて、人間は本当に賢いのか

ある日の診察で、患者さんからこんな質問を受けました。「先生、そんなに気まぐれに生きていて良いのでしょうか?」その方は、周囲に合わせられない自分を責め、「一貫性がない」「人として未熟なのではないか」と感じていました。私は少し間をおいて、こう聞...
森田療法

考えすぎた心を、現実に戻す

診察の場で、「私はうつだと思います」「家族から、不安障害じゃないかと言われました」このようにお話しされる方は少なくありません。うつ、不安、トラウマ、ストレス、パニック、発達障害、愛着障害――。これらの言葉は、今では日常会話の中でも当たり前に...
仁泉堂医院

安定を維持しようとすることは、自分の中に“鉄格子”をつくることかもしれない

ある患者さんが、別の医療関係者から「仁泉堂の医者は思い切ったことをしましたね」と言われたと話してくれました。指しているのは、仁泉堂が薬物療法を一切行わないという方針です。その時、私の口から自然に出たのが、「安定を維持しようとすることは、自分...
仁泉堂医院

「死んでも、生き様が残る」——ある患者さんから教わったこと

「死んでも、生き様が残る」——ある患者さんから教わったこと以前、当ブログでは「人間はどうせ死ぬとわかっているのに、なぜ頑張れるのか」という問いについてお話ししたことがあります。私自身も、生きる意味は一つに決まるものではなく、「ただ目の前の問...
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