3月20日に開催した仁泉堂将棋大会では、私にとって初めての経験となる「リレー将棋」を行いました。数人で交代しながら一局を指していく形式で、普段の将棋とはまた違った面白さがありました。
その後、コンピュータ相手に将棋を指していて、自分の中に変化が起きていることに気づきました。以前の私は、相手の攻めや受けを見落として不利になると、その手の前に戻してやり直していました。いわば「失敗しなかったこと」にして、先へ進もうとしていたのです。
しかし、リレー将棋を経験してからは、劣勢になった局面でもそのまま受け止め、その中で最善と思える一手を探すようになりました。
すると、これが実に面白いのです。
不利な状況の中でも打開策を考え続けていると、思いがけず逆転できることがあります。そして何より、「こういう場面でどう指すか」という力が少しずつ磨かれていく実感があります。
一人で指す将棋では、自分の考えや好みに沿って数手先まで組み立てることができます。ところがリレー将棋では、チームで戦うため、自分なら選ばない手によって盤面が進んでいきます。望んだ形ではない局面が、次々と現れるのです。
そこで求められるのは、「こうあるべきだった」と過去を悔やむことではなく、今、目の前にある盤面に対して、最も有利な一手を選ぶことです。
これは、日常生活にも通じます。人生もまた、自分の思い通りの盤面になるとは限りません。予想外の出来事、不本意な状況、劣勢に思える時期もあります。
そのとき、「なぜこうなった」と嘆き続けるよりも、今ある条件の中でできる一手を打っていくことが大切です。
森田療法にも通じる姿勢です。理想の状態になってから動くのではなく、不安や不満を抱えたままでも、その時できる行動を重ねていく。
リレー将棋は、そんな実践の場でもあるのかもしれません。

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