先日、ふと思いついたことがあります。
人の言葉を受け取るとき、味覚になぞらえて感じてみることができるのではないか、ということです。
こころにヒリヒリと残る言葉は、「辛い言葉」なのかもしれません。
一見心地よく、苦しいときほど頼りたくなる言葉は、「甘い言葉」なのかもしれません。
刺激的で、眠気が覚めるような一言は、「酸っぱい言葉」と言えるかもしれません。
さらに、「苦い言葉」「塩辛い言葉」「旨い言葉」もあるような気がします。
人間の舌が感じる基本の味は、甘味・苦味・酸味・塩味・旨味です。ちなみに辛味は、厳密には味覚ではなく、舌が感じる痛みなのだそうです。
最近は、「使ってよい言葉」と「使ってはいけない言葉」を細かく分ける風潮が以前より強くなっているように感じます。
もちろん、相手に強い負担を与える言葉を無造作に使ってよいわけではありません。しかし、味覚に置き換えて考えると、辛味や苦味そのものが悪いわけではありません。毎日そればかりでは食べたくなくなりますが、料理全体の味を引き締め、深みを与える大切な役割を果たしています。
私自身、子どもの頃は辛いものや苦いものが苦手でした。しかし年齢を重ねるにつれ、ほどよい辛味や苦味をむしろ心地よく感じるようになりました。コーヒーをおいしく味わえるようになったのも、大人になってからです。
反対に、甘いものばかり食べ続けていると、体には負担がかかります。だからといって甘味が不要なわけではありません。疲れたときの甘いひと口や、料理の隠し味として加えられた甘味は、格別なおいしさがあります。
言葉も、それと似ているのではないでしょうか。
耳に心地よい言葉ばかりを求めても、こころは豊かになりません。一方で、厳しい言葉ばかりでは疲れ果ててしまいます。大切なのは、どちらが良い悪いと決めることではなく、その言葉が自分にとってどんな「味」として感じられたのかを味わってみることなのだと思います。
もし、ある言葉に違和感を覚えたときには、「これはどんな味がするだろう」と、少し立ち止まって感じてみる。
そんな受け取り方も、日々の人間関係を少し豊かにしてくれるのではないでしょうか。

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