私は教育支援委員や学校医として、学校に通うことが難しくなった児童について相談を受ける機会があります。
私自身もかつては一人の児童でした。振り返ってみると、学校は毎日が楽しい場所だったわけではありません。今日は行きたいと思う日もあれば、今日は休みたいと思う日もありました。
子どもが学校へ行かなくなるのは、「行きたくない気持ち」が「行きたい気持ち」を上回った結果です。その意味では、とても自然な反応と考えることもできます。
ところが、多くの場合、大人は「なぜ学校に行けないのか」という理由を一つに特定しようとします。「いじめが原因ではないか」「先生との関係ではないか」「家庭環境に問題があるのではないか」と、それぞれの立場から原因を探そうとします。
しかし、実際には一つの原因だけで説明できるケースは少なく、さまざまな要因が重なり合っていることがほとんどです。無理に原因を一つに決めようとすること自体が、不自然なのかもしれません。
そのため、「学校に行かない理由」を突き詰めることよりも、子どもの気持ちに寄り添いながら、今できることを考えることが大切です。
そこで、「行きたくない要素」を減らそうとする取り組みが行われることがあります。例えば、苦手な友達とクラスを分ける、席替えをするなどです。もちろん、それらが効果を示す場合もあります。
しかし、一度できあがった「学校は行きたくない場所」という気持ちを消すことは、決して簡単ではありません。
だからこそ、学校へ通う可能性を高めるために最も大切なのは、「行きたい要素」を少しずつ増やしていくことではないでしょうか。
例えば、担任の先生が出すクイズに挑戦してみる、学校の花壇の花の成長を観察する、図書室で好きな本を探す、係活動で役割を持つなど、その子自身が「面白い」「やってみたい」と感じられるきっかけをつくることです。
大人ができるのは、そのような「行ってみようかな」と思える可能性を少しずつ増やすことです。
最終的に学校へ行くかどうかを決めるのは、子ども本人です。その意思を尊重しながら、焦らず、一歩ずつ「行きたい理由」を育てていくことが、子どもの未来につながる支援ではないかと考えています。

コメント