過敏性腸症候群、心因性頻尿症、赤面症、確認強迫、強迫観念、予期不安、抑うつ状態など――
実は、治療可能な心身の不調は数多く存在します。
しかしながら、現在の精神医療は、それらを「治す」方向に十分に向き合えているでしょうか。
初期の段階から薬物療法が中心となり、不安や苦悩を一時的に和らげる一方で、その背景にある問題が置き去りにされているケースも少なくありません。
日本の精神医療制度は、主に統合失調症や双極症といった「精神病(サイコーシス)」の治療を前提として発展してきました。これらの疾患は脳の機能的変化を伴い、適切な治療を行わなければ認知機能の低下などを引き起こす可能性があります。
そのため、薬物療法によって進行を抑えつつ、失われた機能を補い、残された力を維持・活性化していくことが重要になります。また、長期的な支援が必要となることから、社会的サポートや障がい認定が必要となる場合もあります。
一方で、いわゆる「神経症(ニューローシス)」と呼ばれる状態は、これとは大きく異なります。
神経症の症状は、生活のあり方や心の使い方に無理が生じていることを示すサインです。しかし、生活を見直すことなく、症状そのものだけを取り除こうとすると、かえって悪循環に陥り、症状が長引いてしまうことがあります。
神経症は、脳の器質的な変化や認知機能の低下を伴うものではありません。
日々の生活を丁寧に見直し、行動や習慣を整えていくことで、回復・治癒が十分に期待できる状態です。(参考 YouTube 動画:「サイコーシスとニューローシスの違い」by 精神科医のあるがままチャンネル)
しかし近年では、「診断 → 薬物療法 + 心理社会的サポート」という、本来は精神病を対象とした治療モデルが、あらゆる精神的苦悩に対して一律に適用される傾向が見られます。
その結果、本来は回復可能な神経症であっても、医療の枠組みによって長期化してしまうケースが生じています。
当院「仁泉堂」は、精神病圏の病態と神経症を丁寧に見極めた上で、神経症の「治癒」を目指したアプローチを重視しています。
現在の国内では、このような取り組みはまだ珍しいかもしれません。
しかし、医療の在り方が変化していく中で、数年後にはより一般的な選択肢となっていく可能性があります。
心身の不調でお悩みの方は、「治す」という視点から、ご自身の状態を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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