「好きではない」と言ってみる

森田療法

感情・感覚に沿って言葉を選ぶ

これまで私は、「よい・悪い」よりも「好き・嫌い」を大切にしよう、ということを書いてきました。

ただ、「好き」「嫌い」という言葉は、ときに強く響きすぎることもあります。

英語でも、

I hate it. よりも

I don’t like it.

のほうが、自然に使われます。

無理に強い表現を選ばなくてもよいのかもしれません。

好きなものは「嫌いではない」、

嫌いなものは「好きではない」。

そのくらいの言い方のほうが、自分の感覚に近いこともあります。

感情や感覚は、自然に生じる

森田療法では、感情や感覚は、状況に応じて自然に生じるものと考えます。

怒りも、不快感も、違和感も、

どれも人間にとって自然な反応です。

それらを消そうとしたり、

感じないようにしたりする必要はありません。

大切なのは、

今、どのような感覚が生じているかに気づき、

それに沿った言葉や行動を選ぶことです。

小さな感覚が置き去りにされるとき

日常の中には、

「これはあまり好ましくない」

「少し引っかかる」

そんな小さな感覚が、繰り返し現れます。

その感覚を言葉にしないまま過ごしていると、

あとになって、怒りという形をとって現れることがあります。

それは感情が問題なのではなく、

感覚に沿った発言や行動が、後回しにされていた結果とも言えます。

ある日常の場面から

ある男性が自分のために食事を用意しました。

それを、後から帰ってきた家族が欲しがる場面。

彼は、不機嫌な態度で「全部お前にやるよ!」と手放してしまいました。

そのときに生じていた感覚は、

「これは自分の分だ」

「今は譲る気分ではない」

という、ごく自然なものでした。

もしその感覚に沿って、

「これは自分の分として食べたい」

「今はあげる気分じゃない」

と伝えていたら、

言葉と感覚は一致していたはずです。

感情に反しない行動

感情や感覚に反した行動を取ると、

心の中に、言葉にならないズレが残ります。

本当は嫌なのに応じる。

本当は疲れているのに引き受ける。

そうしたズレが重なると、

言葉は次第に強さを帯び、

怒りを含んだ形で表に出やすくなります。

逆に、

感情・感覚に沿った小さな発言や行動は、

心の中に大きな摩擦を残しません。

感情に沿って、生きてみる

感情は自然に生じ、自然に移ろいます。

それを操作する必要はありません。

そのときどきに生じている感覚に気づき、

それに沿った言葉を選ぶ。

それに沿った行動を取る。

それは、感情に振り回されることとは違い、

感情を含んだまま生きる、ということなのだと思います。

最近、あなたは自分の感情や感覚に沿った発言や行動を選んでいるでしょうか。

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