前回の記事では、「トイ・ストーリー」を通して、私たち人間もまた、自然の摂理という大きな流れの中で生きている存在かもしれない、というお話をしました。
社会の中で生きていると、私たちはどうしても、物事を「人間の視点」からだけ見てしまいがちです。
何が効率的か、どうすれば成功するか、どうすればうまく生きられるか。
それ自体は悪いことではありませんが、時に、その視点が私たちの心と体を追い詰めることもあるのではないでしょうか。
では、自然の摂理に耳を澄ますとは、どういうことでしょうか?
たとえば、こんな場面を想像してみてください。
- 天気が良ければ、自然と体が外に向かう。
- 日が沈めば、活動を終えて眠くなる。
- 空腹を感じたときに食べ、満腹になったらやめる。
- 気持ちが沈んだ日は、無理に前向きになろうとせず、そのままにしておく。
どれも当たり前のように見えますが、私たちは案外、こうした「自然なリズム」に従って生きることが難しくなっています。
むしろ、時間に追われ、効率を求め、感情すら「コントロールすべきもの」として扱うことが多いかもしれません。
でも、本来の私たちは自然の中で育まれてきた存在です。
そして今もなお、体も心も、自然のリズムと深くつながっています。
その流れを無視して、「こうあるべき」「もっと頑張れ」と自分を追い込むことは、木が根を張る土を無視して枝を広げようとするようなもの。
どこかで無理が生じ、倒れてしまうかもしれません。
だからこそ私は、まずは「自然に耳を澄ます」ことから始めたいと思うのです。
体がどう感じているのか、心がどこを向いているのか。
そうした微かな声に気づき、受け止めていくこと。
それが、いま私たちに必要な回復の道のような気がしています。
次回は、私が日々の診療や生活の中で、こうした自然との関係をどう取り戻していこうとしているか、その具体的な実践について少しずつ紹介していきたいと思います。
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