同じ立方体、違うかたち ― 個別性と学びのあいだで

仁泉堂医院

立方体の展開図は、全部で11種類あります。

そのうちのいくつかを、実際に描いてみました(写真)。

同じ立方体でも、ここまで形が違う。

頭では理解していても、改めて並べてみると興味深いものです。

ある小学生のJ君が、先生から

「展開図を描いて、立方体を組み立ててみましょう」

という課題を出されました。

J君は、迷わずパターンDを選びました。

そして、きれいに立方体を完成させました。

ところが次に先生は、

「では次はパターンAで作ってみましょう」

と声をかけました。

算数の学びとしては、どの展開図も同じ立方体になる。

その共通性を理解することは、とても大切なことです。

しかし、J君はパターンDが好きでした。

どうしても、パターンAで作る気にはなれなかったのです。

ここには、大切な視点が含まれているように思います。

一つは、「どれも同じになる」という学問的な共通性。

もう一つは、「これがいい」と感じる、その人自身の感覚。

どちらも、軽く扱うことはできません。

私自身も、どちらかといえばパターンDに惹かれます。

それでも、Aを含めてすべてが同じ立方体になるという理解は大切にしたい。

精神科医療においても、同じことが言えるのではないでしょうか。

診断や理論といった「共通の枠組み」は必要です。

一方で、その人が何を感じ、どのような形を自然と選ぶのかという「個別性」も、同じくらい重要です。

仁泉堂では、この両方を大切にしています。

ただし、どちらかといえば、後者――その人自身の感覚や選び方に、より重みを置いています。

同じ「立方体」を目指していても、

そこに至る「展開図」は、人それぞれであってよい。

そうした考えのもとで、日々の診療を行っています。

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