赤城山トレイル試走記|現実を知り、挑戦する走りへ

人間・社会

試走の目的は「守り」ではなく「攻める」ため

先日、トレイルランニングの練習チームの仲間と一緒に、4人で赤城山トレイルランニングレース(32km)の試走を行いました。

試走の最大の目的は、「リスクを避ける」ためだけではありません。リスクを最小限に抑えながら、これまでの練習の成果を最大限に発揮するためです。

未知のコースに対する不安や慎重さは、チャレンジを妨げます。だからこそ事前にコースを体験し、「現実」を把握しておくことで、過剰な恐れを手放し、自分の走りに集中できるようになります。

起伏のリズム、補給のタイミング、装備・服装の選択、危険箇所の確認など、あらかじめ身体で感じておくことは、本番で“攻める走り”を可能にするための準備なのです。

私は県内の大会ではできる限り試走を行っています。県外の大会ではぶっつけ本番になることもありますが、それでも「行けるなら行っておきたい」と思うほど、試走には価値を感じています。

4人で走った赤城山|一人では得られない学び

昨年は赤城山の初級者向けコースに出場し、一人で試走を行いました。今年は中級者以上のコースに挑戦。ありがたいことに、今回は仲間と一緒に4人で試走することができました。そのうち2人は、すでにこのコースを経験しており、実践的なアドバイスも多くもらえました。

私たちはそれぞれ異なる目標タイムを持っていましたが、共通していたのは「完走」ではなく、これまで積み上げてきた練習の成果を本番で出し切りたいという思いです。

自然との対話|トラブルもチャンスに変える

試走中にはさまざまなハプニングがありました。私ともう一人が転倒し、一人は汗をかきすぎて体が冷えてしまう場面も。顔にまとわりつく蜘蛛の巣、突然目の前に現れる鹿…。こうした自然との予期せぬ出会いに対して、先頭を交代しながら柔軟に対応していきました。

トレイルを走るということは、自然と対話し、調和しながら進むことでもあります。試走を通じて、それをあらためて実感しました。

チームで走ることの意味

レースに向けた工夫やアイディアも、仲間同士でたくさん共有できました。装備、補給、ペース配分、メンタルの整え方──一人では気づけなかった視点を補い合えるのが、集団で走る強みです。

人間が単独ではなく、集団で行動するようになったのは、自然という脅威の中で協力し合い、生き残るためだったのだと感じました。

私は一人で考える時間も大切にしていますが、このような「本来の意味での社会」に関わる体験があると、社会の一員として生きることの喜びを思い出させてくれます。

試走は、挑戦の土台をつくる時間

レースは、単なる耐久やスピードの勝負ではありません。自分自身と向き合い、自然と協調しながら、どこまで踏み出せるかという挑戦の時間でもあります。

そのための試走は、走力や技術の確認にとどまらず、「攻めるために恐れを手放す」ための準備でもありました。

この日得られた気づきと確信を、レース当日の自信につなげていきたいと思います。

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