「傾聴」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。セラピストが、話をよく聴き、共感し、クライアントを理解しようとする態度――それは安心感につながりますし、大切な姿勢でもあります。
しかし、それだけでは十分ではありません。
本当の意味で心が変わっていくためには、面接の時間が単なる“癒しの場”にとどまってはいけないのです。クライアントの心の中に、あるいはセラピストとの関係の中に、何か新しい体験が生まれることが必要です。
人は、「変わりたい」と思いながらも、同時に「変わるのが怖い」とも感じています。そのために、新しい提案や視点を拒んでしまうこともあります。でも、その怖さにセラピストまで足をすくませてしまっては、治療は進みません。
たとえば、患者さんが痛がるのを恐れて処置をためらう医者がいたとしたら――それは、医者としての責任を果たしているとは言えません。心の治療も同じです。心地よさだけでは、人は変われないのです。
私は、仁泉堂の診察室に入ってくださった方には、毎回なにかしらの「新しい体験」を持ち帰っていただきたいと思っています。
あなたが「当たり前」だと信じていることに、あえて疑問を投げかけることもあるでしょう。あるいは、心の変化を恐れている方には、体を動かしながら五感を使って感じてもらう体験を提案することもあります。
自分らしい生き方に、もう一歩踏み出したい――そう感じた方は、ぜひ勇気をもって仁泉堂の扉を開けてみてください。
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