先日、群馬県藤岡市鬼石で開催されたトレイルレースに、ボランティアスタッフとして参加しました。
普段は選手として走ることが多いのですが、トレイルランニングを続ける中で、ボランティアとして関わることにも、別の面白さがあると感じるようになりました。
今回は「サポートランナー」としてコースを走りました。救急セットとAEDを背負い、選手の表情や脚の様子を確認しつつ、並走時には声をかける。+4kgほどの装備は、普段とは違った負荷となり、終わった後には独特の疲労感が残りましたが、他のサポートランナーやエイドのスタッフとやりとりをしながら進む時間は、とても新鮮でした。幸い、緊急対応を要する場面はなく、無事に終えることができました。
ボランティアの魅力に気づいたのは、私にとってはトレイルランニングがきっかけです。体験を通して、「金銭的報酬のため」でもなく、「誰かの役に立ったかどうか」でもなく、人と共同で作業をすること自体に、心をととえる力があると感じるようになりました。
最近の記事でも触れたように、私は「心理療法とは、ともに作業をすること」だと考えるようになっています。診療での共同作業も、トレイルでの共同作業も、本質的には同じ構造を持っています。評価や成果といった外側の物差しではなく、共に動き、同じ場をくぐり抜ける体験そのものが、すでに価値を持っているのだと思います。
若い頃、ボランティアについては「なぜ報酬がないのか」と疑問がありました。しかし今は、働くという行為の中には、収入とは別に、行動を共にすることそのものがもたらす充足が確かに存在することを実感します。
これからも、選手として、そしてボランティアとして、トレイルに関わり続けていきたいと思います。

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