スマホ相談窓口「仁」
スマホの相談窓口「仁」には、
「思った通りに動かないんです」
という相談が毎日のように届く。
実際に話を聞いてみると、その多くは深刻な故障ではない。
まず多いのは、使い方の問題だ。
画面のどこを押せばよいのか、どの順番で操作すればよいのかを、相談者と一緒にたどっていくだけで、あっさり動き出すことも少なくない。
次に多いのは、設定の問題である。
音量、通知、表示、同期――
自分が何をしたいのかと、スマホの設定が噛み合っていなかっただけ、ということも多い。
設定を一緒に見直すと、「あ、こういうことだったのか」と腑に落ちて、使いにくさが消えていく。
その次は、機種とアプリの相性だ。
少し古いスマホに、最新の重たいアプリを入れてしまえば、動作が鈍くなるのは自然なことだ。
その場合は、
「多少もたついてもこのアプリを使い続けるか」
「機能は少ないが軽いアプリに変えるか」
を本人に選んでもらう。
どちらも“正解”である。
さらに稀だが、アプリそのものの不具合もある。
これはユーザー側でどうこうできるものではない。
開発者がバグを直すのを待つか、別のアプリを使うか、という話になる。
こうして見ると、「仁」に持ち込まれる相談のほとんどは、
スマホ本体を分解したり、部品を取り替えたりする必要のないものばかりである。
相談者も、必ずしも「完璧に」解決しなくても、
「そういう仕組みだったのか」
「今の自分にはこれで十分だ」
と納得して、日々の生活に戻っていく。
もうひとつの窓口「メド」
ところが、少し離れた場所にあるスマホ相談窓口「メド」では、話が少し違うらしい。
「思い通りに動かない」と言うと、
まずスマホ本体を預けさせられ、
過去の使用履歴を調べ、
部品の検査が始まるという。
「何かおかしい数値が出ています」
「ここに異常の兆候があります」
そう言われて修理を受けても、
相談者の実感としては、あまり変わらない。
すると再び検査が行われ、また別の部品が取り替えられる。
時間が経つほど、
「このスマホはどこか壊れているに違いない」
という感覚だけが強くなり、
本来そのスマホでしていたはずの用事や日常が、だんだん後回しになっていく。
スマホは、
使うための道具であって、
調べ続ける対象ではない。
それを忘れない場所でありたい、
というのが、
スマホ相談窓口「仁」の、ひそかな方針である。

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