統計よりも「誰がやるか」

精神医学・精神医療

たとえば、自分が外科手術を受けることになったとします。手術にはA法とB法があり、統計的にはA法の方が成功率が高い──そんな説明を受けたとき、あなたならどう考えるでしょうか。

確かに、明らかに成功率の低い手術法は避けたいものです。でも、実際に手術を行うのは人間です。同じ方法でも、それを扱う医師の技術や判断力には差があるはず。そう考えると、私は「どの手術法か」よりも、「誰が執刀するか」を重視したくなります。丁寧で手早く、予期せぬトラブルにも落ち着いて対応できる外科医に任せたい。それが、多くの人の本音ではないでしょうか。

私は、医師の技術を野球のバッティングにたとえて考えることがあります。ある場面で、逆転打を期待する際、左打者の方が有利か右打者か──という統計はもちろん参考になります。しかしそれ以上に、「今、その打席に立っているのが、どれだけ優れた打者か」が勝敗を大きく左右します。

医療においても同じように、統計的なデータは判断の参考にはなりますが、それだけで決めるのではなく、その技術を実際に使う“人”を見る目も大切なのだと思います。

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