仁泉堂医院

アスリートのメンタルケアと神経症治療の共通点

人間の心は、しばしば現実を歪めて捉えてしまいます。神経症の患者さんは、「起きてもいないこと」を恐れ、「変えられないもの」をなんとか変えようと焦ります。そしてその努力が、かえって不安を強め、心を疲弊させていくのです。同じことが、アスリートの世...
コミュニケーション

「この先生、合わないかも」と思ったときこそチャンス?

クリニックでの診察中、「前の先生は私には合わなかったんです」とお話しされる患者さんに出会うことは、決して珍しくありません。確かに、人と人との間には「相性」というものがあり、会話がすれ違ったままでは、なかなか信頼関係を築けないこともあります。...
日常

登りのフォームが見つからないまま、練習会を終える

いつもトレーニングで登っている水沢山で、練習会が行われました。参加者の中には、私よりもずっと速いメンバーが揃っていて、ついていくのがやっと。いや、正直に言えば、全然ついていけませんでした。「脚をもっと早く地面から離すといいよ」「体重はもう少...
仁泉堂医院

名コーチではなく、先輩ランナーとして──私の森田療法実践記

ある患者さんから、印象的なフィードバックをいただきました。「前回は先生との距離が遠くて、見失ってしまうような感覚でした。どんどん先へ進んで、置いていかれるように感じました。」その言葉に、私ははっとさせられ、深く反省しました。ちょうど最近、私...
人間・社会

お金には感謝を添えて ~ 仕事とは、助け合いから生まれたもの ~

仕事は「助け合い」から始まった私たちが日々の生活の中で関わっている「仕事」や「職業」というものは、そもそも、人と人とが助け合うところから始まったのではないか──そんなふうに、私は考えています。たとえば、縄文時代を思い浮かべてみてください。道...
人間・社会

健康>時間>お金──ある患者さんが教えてくれた、大切な優先順位

ある患者さんが、診察の中で教えてくれた考えがあります。「健康>時間>お金の順番で、物事を優先することにしました」「お金があっても時間がなければ、お金を活用できない。時間があっても健康でなければ、その時間を活かせない。だから、この順番なんです...
人間・社会

人はなぜ助言を受け入れるのか?

人は基本的に、自分の意志で行動したいものだと思います。例えば、公園で遊んでいる子どもが「まだ帰りたくない!」と駄々をこねる姿、学校指定のカバンを持つことに不満を抱く中学生の声、家電量販店で店員に商品の説明を受けると少し煩わしく感じる瞬間…。...
仁泉堂医院

「行動力がない」とは何か?

ある患者さんが、「体力はあるんですが、僕は行動力が足りないと思うのです」と語ってくれました。私は「あなたのいう行動力とは、どういう意味でしょうか?」と尋ねました。すると、その方は「やったほうがいいと思っている作業があるのに、始めると大変だか...
仁泉堂医院

神経症の苦悩と、薬を使わない治療の価値

神経症に悩む人に対して、「そんなことで悩まなくてよいのに」という言葉は、最も避けるべきものです。その苦しみは、経験のない人にはなかなか理解しにくいものですが、私は患者さんとの対話の中で、次のようなたとえ話をしました。「防護服を着たままの登山...
仁泉堂医院

「現実を直視しなくてはいけないのですか?」

「どんなに苦しくても、今起きている現実を直視しなくてはいけないのですか?」そう患者さんに問われたとき、私はこう答えました。「目をそらすことは、さらに苦しさを増すことにつながるかもしれません」このやり取りは、抗不安薬の減量を目指す患者さんとの...
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