森田療法

仁泉堂医院

「現実を直視しなくてはいけないのですか?」

「どんなに苦しくても、今起きている現実を直視しなくてはいけないのですか?」そう患者さんに問われたとき、私はこう答えました。「目をそらすことは、さらに苦しさを増すことにつながるかもしれません」このやり取りは、抗不安薬の減量を目指す患者さんとの...
森田療法

逃げるか?それとも立ち向かうか? 〜「選択する勇気」を持つことの大切さ〜

逃げてはいけないのか? 患者さんとの対話から診察の中で、対人関係の悩みや仕事の問題を抱えた患者さんから「逃げてはいけないのでしょうか?」と尋ねられることは少なくありません。このような問いに答える際には、「行動の選択」という視点を意識すること...
日常

「心の持ち方」で人生は変わる?

先日、ある卒業式に出席する機会がありました。その中での式辞で、「心の持ち方で人生は変わる」という言葉が引用されていました。この言葉、一見すると前向きで励まされるように感じるかもしれません。しかし、森田療法的な視点から見ると、少し危うい側面が...
森田療法

天気をコントロールできたらどうなる?ーーあるがままを受け入れることの大切さ

「天気は人間がどうすることもできないもの」——私たちはそう思って日々を過ごしています。運動会が雨で中止になったり、大雪で電車が止まったりするのも、「仕方ない」と受け入れています。でも、もし天気を自由にコントロールできたらどうでしょう?例えば...
森田療法

過去にとらわれず、自由に生きる

私たちはつい、物事の因果関係を直線的に考え、「こうなったのは、こういう理由がある」と説明したくなります。しかし、人生の出来事は無数の要因が複雑に絡み合って生じるものであり、単純な「原因と結果」の関係では説明しきれません。例えば、「風が吹けば...
森田療法

「できるけど、しない」という選択——生き残るための自然な態度

精神科の診察室では、「朝起きられない」「食べられない」「仕事に行けない」「学校に行けない」といった訴えがよく聞かれます。こうした状態に対して、精神療法や薬物療法で改善を試みるのが一般的なアプローチですが、私はそこに別の視点を持っています。多...
人間・社会

社会の問題は、社会の中で解決すべきか?——自然とのつながりが回復の鍵

私たちは、自然災害や過酷な環境から身を守るために社会という仕組みを作り上げてきました。共同体を形成し、協力することで生存の可能性を高め、文明を発展させてきたのです。しかし、現代では皮肉なことに、自然の脅威から身を守るために作られた社会そのも...
ダイエット

不安と向き合う力を養う ~登山から学ぶ「あるがまま」~

人生の中で不安を感じることは誰にでもあると思います。そんな時こそ、自分の状態、感覚、感情をできる限り「あるがまま」把握することが大切です。しかし、「現実を見るのが怖い」「放っておけば何とかなる」「誰かが助けてくれるはず」と、現状から目をそら...
仁泉堂医院

人間関係をリンゴにたとえてみる

日々の生活の中で、私たちはさまざまな人と関わります。その中には、長い付き合いがあるけれど、どこかモヤモヤした関係を抱えることもあるでしょう。ある患者さんとの対話を通じて、そんな人間関係を「リンゴ」に例えてみました。虫食いリンゴを手放せない理...
森田療法

自らの選択権を手放さないために

私はトレイルランニングを生きがいの一つにしています。多くの大会の要項には、「自分自身で安全と体調の判断ができること」という条件が明記されています。大会運営側ももちろん救助の手を差し伸べますが、それを前提にして挑戦するべきではありません。実際...
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