仁泉堂医院

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「現実を直視しなくてはいけないのですか?」

「どんなに苦しくても、今起きている現実を直視しなくてはいけないのですか?」そう患者さんに問われたとき、私はこう答えました。「目をそらすことは、さらに苦しさを増すことにつながるかもしれません」このやり取りは、抗不安薬の減量を目指す患者さんとの...
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診察室をハイテーブルに変えました──「立つこと」と「対話の場」

先週から、クリニックの診察室のテーブルをハイテーブルに変えました。これには2つの理由があります。1. 立って診察するという選択私はランナーとしてのパフォーマンス向上のため、月に一度トレーナーさんに診てもらっています。先日、そのトレーナーさん...
コミュニケーション

マニュアルだけでは学べないこと——患者さんとの対話から

先日、ある患者さんとお話ししたときのことです。その方は最近転職し、新しい職場での仕事を始めたばかりでした。ところが、業務の手順がわからず、先輩職員に「一度やり方を見せてもらえませんか?」とお願いしたところ、「マニュアルを読めばできるはずだ」...
人間・社会

自分で対処できる安心感 〜海外の価値観と医療DXへの思い〜

先日、海外出身の男性を診察したときに、興味深い話を伺いました。彼の出身国では、車の修理を自分でできることが当たり前なのだそうです。広大な草原や砂漠が広がるその国では、もし砂漠の真ん中で車が故障してしまったら、自分で修理できなければ命に関わる...
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精神科の診断は本当に必要? 〜診断よりも大切なこと〜

仁泉堂医院に初診を希望される方の中には、「治療を受けたい」というよりも「診断をしてほしい」とおっしゃる方が少なくありません。精神的に苦しい状況で、自分の状態をはっきりさせたいと思うのは自然なことかもしれません。しかし、私は「診断することが本...
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医師は薬物療法師ではない

現代の精神科診療において、薬物療法が中心になりすぎていることに疑問を感じたことはありませんか? もちろん、統合失調症や双極症、精神病性うつ病のほか、精神病症状の「急性期」において、薬物療法は非常に重要な役割を果たします。しかし、それ以外の精...
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人間関係をリンゴにたとえてみる

日々の生活の中で、私たちはさまざまな人と関わります。その中には、長い付き合いがあるけれど、どこかモヤモヤした関係を抱えることもあるでしょう。ある患者さんとの対話を通じて、そんな人間関係を「リンゴ」に例えてみました。虫食いリンゴを手放せない理...
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ランニングフォームから見る「連動性」の重要性と精神科治療への応用

昨年、私はレースのたびに故障を繰り返す自分の課題を克服するため、ランニングクリニックに通い始めました。そのクリニックの院長である宮川浩太さんは、ランニングフォームについて非常に興味深い考えをお持ちで、ホームページには次のように記されています...
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減薬を進める上での新たな視点:患者さんからの学び

調子が悪い時こそ減薬を試す意味現在、減薬を進めている患者さんの一人が、風邪を引いて体調不良が続いていました。診察で私は、「体調が回復してから、次のステップとして、もう一段階薬を減らしましょう」と提案しました。しかし、その方は思いもよらない発...
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「眠れない」を症状と捉えることの矛盾について

森田正馬は「思想の矛盾」について次のように述べています。それは「こうありたい」「こうあらねばならない」という思考と、現実の結果が反対になり、矛盾することを指します。この考え方は、私たちがしばしば混同しやすい概念――主観と客観、感情と知識、体...
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