マニュアルだけでは学べないこと——患者さんとの対話から

コミュニケーション

先日、ある患者さんとお話ししたときのことです。その方は最近転職し、新しい職場での仕事を始めたばかりでした。ところが、業務の手順がわからず、先輩職員に「一度やり方を見せてもらえませんか?」とお願いしたところ、「マニュアルを読めばできるはずだ」と断られてしまったそうです。

もちろん、マニュアルは多くの人に共通の手順を伝えるのに役立ちます。しかし、1対1で教える場面では、むしろ非効率になることが少なくありません。

例えば、料理のレシピを読んでも、実際に包丁の使い方や火加減の感覚はわかりづらいものです。でも、熟練した料理人の手元を直接見れば、「野菜をこう持つと切りやすいのか」「火にかけるタイミングはこう判断するのか」といった、言葉では伝わりにくいコツが自然と身につきます。

同じように、仕事でも実際にやっている姿を見ることで初めて理解できることが多々あります。教える側が無意識にやっている工夫や経験則は、マニュアルには書かれていないことが多いのです。

1対1の指導で大切なこと

作業や技術を教える際、もっとも効果的なのは次の2つです。

1. まず手本を見せること

2. 次に、実際にやらせてみること

見て学ぶことで、学ぶ側は「どこが重要なのか」をつかみやすくなります。そして、自分でやってみることで、初めて気づく疑問や課題が出てきます。このプロセスを繰り返すことが、本当の意味での「習得」につながります。

では、もし教えてくれる人が「見せる」ことを拒んだ場合はどうすればいいでしょうか?

他人は変えられない——だからこそ、次の一歩を

この患者さんは、何度か「見せてほしい」とお願いしましたが、状況は変わりませんでした。その結果、最終的に「この環境では学べない」と判断し、再び転職することを決めました。

「他人を変えることはできない」というのは厳しい現実ですが、それを前提に「自分はどう動くか」を選ぶことはできます。今回の患者さんは、「学べる環境」を求めて行動を起こしました。これは、とても前向きな決断だと思います。

仕事でも人生でも、「どうすれば成長できるか?」を考えたとき、環境を選ぶことは重要な要素の一つです。自分の成長につながる場所に身を置くことも、大切な選択肢のひとつではないでしょうか。

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