最初で最後の献血

日常

先日、ランニングレースまでの時間があり、左脚の故障でトレーニングを控えていた私は、久しぶりに献血ルームを訪れました。以前のブログで触れたこともありますが、献血への思い入れには個人的な背景があります。それを克服し、「これからも献血ができる」という自信をつけたいという気持ちもあったのです。

献血そのものは順調で、400ccの血液を提供し、針が抜かれた瞬間、「これで過去の呪縛から解き放たれた!」と心が躍りました。しかし、その後、看護師さんに「若干血圧が下がっていますね、飲み物を持ってきます」と声をかけられた直後、目の前が暗くなり、意識を失ってしまいました。目を覚ましたとき、周囲にはスタッフの方々が集まり、眼鏡は外され、ベルトが緩められていました。短い時間だったようですが、恥ずかしさと「また手間をかけさせてしまった」という思いが心に残りました。

その後、1時間ほど経過を見守っていただき、安全を確認した上で帰宅しましたが、「これ以上、献血ルームに迷惑をかけられない」との思いが強くなり、「今回で最後にしよう」と心に決めました。看護師さんからも「安全のため、今後の献血はご遠慮ください」という紙をいただき、そのまま受け止めることにしました。

自分の体質を受け入れるということ

トレイルランニングを続け、以前に比べて体力や持久力には自信がついていましたが、血圧が下がりやすい体質はどうやら根本的な部分で変えられないようです。この出来事を通じて、以前患者さんからいただいた言葉を思い出しました。「無理して献血しなくてもよいのでは?他にも社会貢献の方法はあるでしょう。」

確かに、自分の体質や性質に合った行動を選ぶことが大切です。森田療法の視点で考えれば、献血は社会貢献の一つの手段であり、それを目的化してしまったことに、どこか矛盾や不自然さがあったのかもしれません。私は「献血をすること」が目的となり、自分の体に耳を傾けることを忘れていたのです。

自然に即した生き方を

森田療法では、「あるがまま」を受け入れつつ、自然な形で自分の役割を果たすことを重視します。この体験を通じて、社会貢献の手段は献血だけではないこと、自分に無理のない範囲でできる方法を模索することの重要性に気づかされました。

献血ルームのスタッフの方々には、この場を借りて改めて感謝申し上げます。私が無事に帰宅できるよう丁寧に対応してくださったことに深く感謝しています。

これからは、自分の「身の丈」に合った形で、できる範囲で社会に貢献していこうと思います。そして、自分の体や心と向き合いながら、その時々の「自然な道」を歩んでいきたいと感じました。

コメント

  1. 心を紡ぐ猫 より:

    初めてコメントいたします。
    転院してから、先生と話す機会がなくなってしまいましたが、ブログから、たくさんの気付きをいただいています。

    私も初めての献血で同じような状態になり、それから怖くてできません。恐怖心に負けて、できないと思い込み、申し訳なさがありました。体質だと気が付きました。

    私も、克服しようとする事は大切だと思います。けれど、時にそれは自分を犠牲にする行為ではないかと思いました。
    この記事を読む直前、たまたま見た動画でも、少し関連するような気付きをもらいました。
    要約ですが、
    「心の中には喜びのグラスがあり、それが溢れた時、その溢れた分で周りに愛を注げば良いんだよ。困っている人を助けたいという気持ちや優しさは、とても尊いけれども、グラスが満たされていない状態では、自分を置いてけぼりにしてしまっていて、だからトラブルが起きる。まずは、自分の心を温かく満たすことだよ。」
    私は自分の心を犠牲にしていました。だから人間関係はうまくいかない。私が大事にしたいのは、自然や動物を感じる事。食べ物を味わって食べる。美味しい、暖かい、優しい、包まれる。それが大事で、やっと分かったばかりの小さな芽は、まず理解できない人や言葉から守らなければいけないと思いました。それを大事にし、揺るがない花が咲き、心が満たされた時、大事なものに愛を注いでお返しができるのかもしれません。
    自分を犠牲にした先には、本当の貢献はないのではないかと、感じました。

    コメントしようとして、長文になりすぎるので、できなかったのですが、やっとできました!笑
    ブログを楽しみにしています。

    • 大仁 大仁 より:

      コメントありがとうございます。お久しぶりですね。以前通院されていた頃からご自身と向き合い、深い気付きを得られる方だと感じていましたが、今もそのように日々を大切に過ごされている様子が伝わり、とても嬉しく思います。

      献血の体験についても丁寧にシェアしてくださり、ありがとうございます。体質によるものだと気付かれたことで、「申し訳なさ」という感情を手放せたのではないでしょうか。それはとても大切な一歩だと感じます。

      また、心のグラスのお話、素晴らしいですね。まずは自分自身を満たし、その上で周りに愛を注ぐという考え方、私も共感します。自然や動物とのつながりや感覚を味わうことを大切にする姿勢も、とても素敵だと思います。その「小さな芽」を大事に守り育てることが、きっと揺るがない花へとつながるでしょうね。

      コメントを書いてくださるまでの思いと時間を心温かく受けとめました。これからもどうぞご自身を大切にしながら、日々の気付きを大切にお過ごしください。またブログを通してのつながりを楽しみにしています。

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