自分の気持ちは“自分の言葉”で語ってみる

精神医学・精神医療

ある日、出張で相談窓口に入ったときのことです。

若い相談者が「自分は感覚過敏とゲーム依存とHSPだと思う」と話してくれました。

「その言葉はどこで知ったの?」と尋ねると、身近な大人とSNSで見かけたという答えが返ってきました。

そこで私は、日々どんな場面で困り、どんな気持ちになるのかを一つずつ聞いていきました。

話を聴いていくうちに、使われた専門用語は、彼が感じている“心の動き”を説明するために選んだ目印のようなものだと分かってきました。

私はこう伝えました。

「その言葉を使ってもいいけれど、今みたいに“自分の言葉”で話すと、もっと自分の気持ちが分かりやすくなるよ」

■ 用語よりも、体験そのものを

近ごろは、心の状態を表す言葉が世の中に溢れ、SNSを見れば誰でも専門的な名前に触れられます。

共通の言葉を持つことで安心することもありますが、心のあり方は本来もっと細やかで、人によって違います。

だからこそ、

・どんな場面で

・どんなふうに感じ

・何に困っているのか

こうした“自分の体験そのもの”を語ることが、心の理解につながります。

■ まとめ ― 心は自分の言葉でひらかれる

用語を知ることは手がかりになります。

しかし、より大切なのは、

自分が何を感じ、何に戸惑っているのかを、自分の言葉で表現すること。

出張先の相談窓口での一件は、その大切さを改めて感じさせてくれる出来事でした。

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