―自然のバランスから学ぶ心のあり方―
世の中には、「良い」「悪い」と評価される出来事があふれています。
けれども、よくよく考えてみれば、ほとんどの事柄は “程度の問題” にすぎません。「過ぎたるは及ばざるがごとし」。これは自然界の基本原理でもあります。
自然は常にバランスを取ろうとします。
食物連鎖では、ある生物が増えすぎれば、やがて餌が不足し、個体数は元の範囲に戻っていく。
人間の身体も同じです。血圧・血糖・体温など、生命を支える仕組みはすべてホメオスタシス――「行き過ぎないための力」が働いています。いずれも、過剰になれば生命が危うくなる。だからこそ、身体は自然にバランスをとる。
ところが、人間社会や人間の思考は、自然とは反対の方向へ向かうことがあります。
裁判、法律、試験、マナー……私たちは「正しいか、間違っているか」をはっきりさせようとする。
しかし、これは自然界から見れば、とても不自然な価値観なのかもしれません。
人の心や社会にも、本来はバランスというものがあるはずです。
たとえば、
「仕事に手を抜くのは悪いこと?」
一方で、がんばり過ぎれば人間は必ず行き詰まります。
「親が子どもに当たるのは悪いこと?」
もちろん常習的な暴力は問題です。しかし、たまに感情があふれ出るのは、人間として自然な姿でもあります。
“良い・悪い” という二分法を捨てると、私たちの行動は「バランスの問題」として見えてきます。
自然と同じように、社会も心も、行き過ぎないことが大切なのだと思います。
私たちが暮らすこの社会は、自然の中に存在する一部にすぎません。
自然の法則に目を向ければ、もっと生きやすい心の持ち方が見えてくるのかもしれません。

コメント