夜の山道に入ると、雰囲気は一変しました。17時を過ぎると辺りは急に暗くなり、靄が濃く立ちこめてきます。ヘッドライトを強くすると光が乱反射して真っ白になり、視界が奪われました。立ち止まって耳を澄ませても、風の音と自分の呼吸しか聞こえません。正直、心細さを感じました。
そんな時、後ろから走ってきたランナーに声をかけられました。「一人では不安なので、後ろを走らせてください」。その一言で緊張が和らぎました。それからは二人で会話を交わしながら、道しるべを確認し合い、残りの道を進みました。ゴール直前、「最後は一緒に走り切りましょう」と声を合わせてフィニッシュした瞬間、安心と達成感で胸がいっぱいになりました。
これは「仲良くするため」ではなく、自然の脅威に対して生き延びるための行動でした。人はいつも群れている必要はありません。自分でできることは一人でやればいい。でも自然に抗えないときや、一人では危険なときにこそ、人は手を取り合うのです。それで十分だと思います。
社会という仕組みも、もともとは自然の脅威から身を守るために人が協力した結果生まれたものなのでしょう。だからこそ「いつも人と仲良くしなければいけない」という考え方には、少し疑問を感じます。
人は常に群れる必要はありません。必要なときに力を合わせれば、それで生き延びることができます。
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