都合の良い情報だけを信じていませんか?

仁泉堂医院

診察をしていると、患者さんがインターネットで得た情報を持って来られる場面によく出会います。今は、賛否両論や相反する研究報告に誰でもアクセスできる時代です。それ自体はとても良いことなのですが、注意が必要だと感じることもあります。

というのも、人はどうしても「自分に都合の良い情報」を選んでしまうからです。

ある薬について、

  • 「効果が副作用を上回る」という報告もあれば、
  • 「副作用の方が大きい」という報告もある。

これは決して珍しいことではありません。ところが、薬を積極的に使いたい人は前者だけを、薬に抵抗感のある人は後者だけを根拠にして、「やっぱり自分の考えは正しかった」と安心してしまうのです。

でも実際には、どちらの報告も「事実」なのです。そこを受け止めた上で、「自分が何を選び、何を失うのか」を考える必要があります。

自然の摂理はシンプルです。

何かを得れば、必ず何かを失う。逆に、失ったときには何かを得てもいる。診療の場でも、薬を使うか使わないかはその典型です。効果を得る代わりに副作用を引き受けることもあるし、副作用を避ける代わりに効果を手放すこともあります。

大切なのは、「片方の都合の良い情報だけを抱えて安心する」のではなく、両方を事実として受け止めたうえで、失うものを覚悟しながら自分の選択をしていくことだと、日々の診療の中で強く感じています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました