先日、ブログの読者でもある患者さんが、診察中にこんな話をしてくれました。「親の言動に毎回腹が立ってしまうんです。でも、先生のブログ記事(2024/9/30)にあった『不快な痛み』の話を思い出して、それと同じだと思いました」と。
家族、職場の同僚、上司など、いっしょにいると不快に感じることがあっても、しばらくはともに過ごさなければならない状況、皆さんも経験があるのではないでしょうか。
私自身の経験ですが、以前、ある病院で医師の控え室でゲームをしている同僚と近くの席だったことがあります。その光景を見て、ついイライラしてしまったんです。
森田療法では、こうした状況を「不快な相手へのとらわれ」と捉えます。本来、誰もが自由に行動する権利がありますよね。それなのに、私がイライラした背景には、「同僚とともに学び合い、成長したい」という自分の中の欲求があったのだと気づきました。
その後、私は学会発表を目指すことに決め、数人のスタッフと協力してその準備に熱中しました。そして半年後、活発な勉強会が行われている別の病院に異動する選択をしました。
振り返ってみると、当時不快に感じていた相手のおかげで、新たなキャリアの展開につながったのです。
仁泉堂医院では、不快な人物に悩まされている患者さんには、まず自分の内側にある欲望を見つめ直し、自分の行動を変えることをお勧めしています。安易に相手を責めたり、状況を回避しようとするのではなく、自分の在り方を変えることが鍵です。
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