人間には不思議なところがあります。
誰もが「自分はいずれ死ぬ」ということを知っているのに、それでも毎日を生き続けています。
自分がいなくなっても、この世界は何事もなかったかのように続いていく。
自分の人生も、いつか終わる。そう頭ではわかっているのに、私たちは今日も目の前のことに取り組み、何かの目標に向かって動き続けます。
冷静に考えると、とても矛盾していると思いませんか?
「どうせ死ぬのに、なんで頑張ってるんだろう?」
そんな問いが心に浮かぶこともあります。
人間以外の動物たちも、もしかしたら、何らかの形で「死」や「終わり」を感じているかもしれません。そして同じように、この矛盾に向き合っている生き物もいるのかもしれません。
この矛盾に正面から向き合いすぎてしまうと、動けなくなってしまうこともあります。
「意味がない」と思って、何かをやめてしまったり、生きることそのものにブレーキをかけてしまったりすることもあるでしょう。
でも、おそらくその矛盾は、「解決」するものではないのです。
抱えたままでいい。
そのうえで、目の前のことに手を伸ばしていくしかないのだと思います。
森田療法では、「生の欲望に従う」という言葉があります。
不安を無理に消そうとせず、それでもなお、生きたいという自然な欲求に従って行動する。
矛盾を抱えたまま、それでも前に進む。
そんな生き方が、人間らしいのかもしれません。
コメント