「夫がイライラしていると、それが自分にうつるのが嫌なんです」とある女性患者さんがおっしゃいました。「イライラって、どうして伝染するんでしょうか?」という質問に対して、私は次のように答えました。
群れを成す動物にとって「感情」は、群れ全体の生存にとって重要な役割を果たしているのではないでしょうか。例えば、野生動物が恐怖や不安を感じるとき、それは天敵の襲撃など、何か危険が迫っていることを示します。その感情が瞬時に他の個体にも伝わることで、群れ全体が危険を察知し、回避できるという仕組みが働いているのでしょう。人間も群れを成す動物ですから、同じような現象があるのかもしれませんね。
後日、ある男性患者さんがこうおっしゃいました。「感情的になると、目の前にいる人ややっている作業など、すべてを否定してしまい、後から後悔することが多いんです。」確かに、感情は冷静な分析力を奪ってしまうものです。かつての人類が野性的に暮らしていた時代には、感情が有益に働く場面も多かったのでしょう。しかし、現代社会では、感情に任せて行動するよりも、冷静に思考し、分析したうえで決断することが、より有益であることが増えてきました。ですから、感情的になったときには、重要な判断や決断を避けたほうが賢明でしょう。
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