ランニングをする時、みなさんはどのようなシューズを選ぶでしょうか。クッション性が高く衝撃をしっかり吸収してくれるタイプもあれば、サポートを最小限にとどめ、足裏に路面の感覚をそのまま伝えてくれるタイプもあります。私は後者、つまりクッションの少ないシューズを選ぶことが多いです。
こうしたシューズは、必要な保護はありつつも、不安定さや衝撃を隠さずに足へ伝えてきます。その結果、身体は自然と衝撃を逃がす走り方を学び、全身の使い方が調和していきます。強いクッションに頼らないことで、人間本来の「走る力」が引き出されていくのです。
ここに、私たち人間の「適応の力」がよく表れています。足にかかる負荷は一見すると負担に思えますが、実はその刺激が、無意識のうちに体の使い方を変え、より効率的でダメージの少ない走り方へと導いてくれます。
これは、心の問題への向き合い方とも重なります。外からのサポートに依存するのではなく、自分自身の内にある回復の力に気づき、引き出していくことが大切です。仁泉堂医院が大切にしている「自助の力を高める治療」とは、まさにそうした方向性を意味しています。
足裏の感覚を伝えるシューズが走りを導くように、人生の困難もまた、私たち自身の適応力を呼び覚まします。外からの支えは最低限にとどめ、自らの力で歩みを整えていく——その積み重ねこそが、よりしなやかな生き方につながるのではないでしょうか。
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