私たちは誰しも、うまくいかなかったときに「でも」「だって」と言い訳をしたくなるものです。失敗や不安を、少しでも軽く見せたい、責任を外に置きたい――そんな心の働きは自然な防衛反応といえます。
しかし、森田療法の創始者・森田正馬は、この「言い訳」を別の角度から見つめました。森田は「柳は緑、花は紅」と語り、事実を事実のままに受け入れることの大切さを説きました。暑い夏を「暑くない」とごまかしても涼しくはならないように、不安や苦しみを「なかったこと」にしても消えはしません。
言い訳が生み出す悪循環
言い訳をすることで一時的に安心できても、現実から目をそらす習慣が身につきます。
- 「今日は気分が悪いからできない」
- 「不安があるから人前では話せない」
こうした言葉は、自分を守るように見えて、実は行動の機会を奪い、ますます「できない自分」を強めてしまいます。
言い訳をしない勇気
森田は「あるがまま」を強調しました。
不安は不安としてそのままにしておき、行動できることをそのまま行う。
言い訳をしないとは、無理に強がることではなく、「できない理由」を探さず、「できること」をそのまま実行する姿勢に他なりません。
このシンプルな実践が、神経症の回復において非常に効果的なのです。言い訳をやめると、症状があっても「なすべきこと」を進められるようになり、結果的に「生きる力」が回復していきます。
仁泉堂からのメッセージ
言い訳は、人間にとって自然な反応です。でも、そこに留まらず一歩踏み出すことが、人生を変える大きな契機になります。
「暑いものは暑い。不安は不安。でも私はこれをやる」
そういう潔さの中に、回復の道が開けます。
仁泉堂では、森田療法の知恵をベースに、「言い訳を手放す力」を一緒に育んでいきます。
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