「ひっぱってもらう」ということ 〜ランニングと森田療法に通じる力の引き出し方〜

森田療法

最近、トレイルランニングチームでの練習に参加しています。学生時代はラグビーに打ち込んでいましたが、陸上競技の経験はありません。そんな私にとって、ランニングは未知の世界であり、毎回が新しい挑戦です。

「ひっぱってもらう」と出せる力がある

陸上の練習では、一定のペースで走るときに、コーチや経験者が前を走ってリズムをつくってくれることがあります。この「ひっぱり役」がいると、不思議ともう一歩、自分の力を引き出せるようになります。

大切なのは、無理に引っ張られるのではなく、自分の意志でその流れに乗っていくということ。あくまで「自力」を前提にしながらも、自分だけでは届きにくいところへ、一緒に走ることで踏み込んでいける感覚があります。

新しいスピードに挑戦した週末練習

今週末の練習では、コーチにひっぱってもらいながら、これまで経験したことのないスピードで6kmのペース走を行いました。さらに短いインターバルを挟み、最後はスピードを上げての1km走。

結果として、4.4km地点でペースを維持できず、400mのジョグと水分補給で1周分を抜かして練習を終えました。オールアウトはできませんでしたが、新しいスピードに挑戦できたことは大きな収穫でした。

「ひっぱられた」のではなく、「自分の限界に挑んだ」と感じられた体験でした。

自主練だけでは届かない場所もある

この経験を通じて、自分の可能性が少し広がった実感がありました。そして同時に、日々の自主練がまだまだ足りないことにも気づきました。

こうした「ひっぱってもらう」ことで見えてくる世界は、私が行っている外来森田療法にも、よく似ていると感じます。

森田療法における「ひっぱる」とは

森田療法は、自分で実践していく治療法です。行動によって心を整え、生き方を変えていく。その過程では、一人でコツコツ取り組める方もいれば、誰かと一緒に歩くことで進みやすくなる方もいます。

「ひっぱる」とは、無理に引っ張ることでも、答えを与えることでもありません。自分の足で進もうとする人が、より自然に、自分の力を発揮できるように、少し前を走っている存在であるということ。

だから、治療においても、誰かに引き上げられるのではなく、自らの足で動く中で、「あ、こう走ればいいのか」と感覚がつかめていくような関係が生まれるのです。

一人で走っていると気づきにくいことがある

私自身、ランニングではまだ学ぶことばかりですが、森田療法においては、少し前を走りながら「ひっぱる」役を担えていると思っています。

一人で走っていても見えないリズムやペース、自分の力の出し方。それに気づきたいと思うなら、仁泉堂の実践の場に加わってみてください。

ただ話を聞く場所ではなく、自ら走り、自ら変わることを前提とした実践の場です。ともに走る中で、あなたの中にある力が自然に引き出されていく。その手応えを、ぜひ体験してみてください。

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