自然適応療法で後悔のループから抜け出す

仁泉堂医院

うまくいかなかったときや、納得できない結果に直面したとき、人はつい「もしあのときこうしていたら」と考えます。けれど、その想像は現実では起きていない出来事です。存在しない過去に心を向け続けることは、自分を苦しめる原因になります。

未来に対して「こうなったら、こうしよう」と考えるのは、備えとして有効なこともあります。しかし、過ぎ去った出来事に対して「~していれば」と考えても、気持ちが重たくなるだけです。

私たちが過去に選んだ行動は、その時点の自分が持っていた情報や状況の中で「これがいい」と判断した結果です。時間が経って「間違っていたかもしれない」と思えるのは、経験を積んだ今だからこそ気づけたこと。だからこそ、その気づきを、次に活かすための行動に変えていくことが大切です。

記憶は、学びを未来へ運ぶための仕組みです。過去を悔やむためのものではありません。

「過去には戻れない」という事実は、自然の法則です。だからこそ、自分の力では変えられないものにとらわれ続けるのではなく、いま自分が選べる行動に目を向けましょう。

どうしても後悔が頭に浮かぶときは、無理に打ち消さず、そっと受けとめます。そして次に似たような状況に出会ったとき、どう動くかを具体的に考えて、実際に動き出します。「思いが浮かぶのを止められない」のも、自然なことです。否定せず、そのエネルギーを動きに変えることができます。

考えすぎて疲れたときには、頭を休めるために自然の感覚に身を預けてみましょう。

たとえば――
🌿 少しだけ外に出て、風に触れてみる。
🌱 手のひらで土を感じてみる。
🪨 身の回りに小さな石や植物を置いてみる。
🌊 心地よい自然音のBGMを流してみる。

どれも特別な準備はいりません。身のまわりの自然に意識を向けるだけで、心が「今ここ」に戻ってきます。そうすると、不思議と動きやすくなることもあるのです。

自分を責める思考のループに気づいたら、まずは一歩、外へ出てみましょう。自然とつながることで、心と体はまた軽やかに動き出します。

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