私たちは、自然災害や過酷な環境から身を守るために社会という仕組みを作り上げてきました。共同体を形成し、協力することで生存の可能性を高め、文明を発展させてきたのです。
しかし、現代では皮肉なことに、自然の脅威から身を守るために作られた社会そのものが、人を苦しめる原因になっているように見えます。人間関係のストレス、職場や学校の適応問題、社会制度の不条理——これらは、自然の脅威とは異なる形で、私たちの心と体に負担をかけています。
では、こうした社会の中で生じた問題は、社会の仕組みの中で解決するのが最善の方法なのでしょうか?
私はむしろ、社会の問題を解決するために、社会から離れ、自然とのつながりを強めることが必要なのではないかと考えています。
社会の枠内での解決は限界がある
一般的に、社会的なストレスや人間関係の問題に対しては、カウンセリングや対人スキルの向上、制度の改革といった方法が提案されます。もちろん、これらも一定の効果はありますが、それだけでは根本的な解決にならないことも多いのが現実です。
なぜなら、社会の問題を社会の枠組みの中だけで解決しようとすると、また新たな調整が必要になり、結局は同じ枠内での苦しみが続くことがあるからです。職場の環境を変えても、別の問題が生まれる。人間関係を改善しても、新たな摩擦が生じる。社会の中で解決しようとすればするほど、堂々巡りになりがちなのです。
自然に立ち戻ることで回復する
そこで必要なのが、社会の外にある「自然」とのつながりを強めることです。
私たちは、都市の中で生活していると忘れがちですが、本来は自然の一部として生きる存在です。自然の中に身を置くことで、人間関係のしがらみや社会のルールから一時的に解放され、「あるがまま」の感覚を取り戻すことができます。
例えば、
- 森を歩くことで、情報過多の社会から距離を置き、五感が研ぎ澄まされる。
- 川の流れを眺めることで、焦燥感が薄れ、物事を自然の流れとして受け入れやすくなる。
- 太陽の光を浴びることで、体内リズムが整い、心身が安定する。
こうした自然との接触は、単なる気分転換ではなく、私たちの生理的な回復力を高め、社会の中で生じたストレスをリセットする重要な手段になり得るのです。
社会の問題は、自然を通じて乗り越える
現代のストレス対策やメンタルケアは、「どうやって社会に適応するか」に焦点を当てたものが多いですが、それだけでは不十分です。適応することばかりに気を取られていると、本来の自分を見失い、心のバランスを崩してしまうこともあります。
むしろ、一度社会の枠を離れ、自然の視点を取り戻してから、改めて社会と関わる方が、より本質的な解決につながるのではないでしょうか。
自然の中に身を置くことで、自分の存在を社会の基準ではなく、もっと根源的な「生きることそのもの」に結びつける。そうすることで、社会の中での悩みや問題も、違った角度から見えるようになります。
社会の問題は、必ずしも社会の中で解決しなくてもいい。むしろ、社会の外にある「自然」とのつながりを強めることによって、人間は本来のバランスを取り戻し、結果として社会の問題にも向き合いやすくなるのではないか。
この視点を、多くの人に届けていきたいと思います。
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