教育や福祉をはじめとする制度は、社会の安定と円滑な運営を支える仕組みとして重要な役割を果たしています。しかし、その一方で、制度が存在する以上、一人ひとりの個別性が軽視されてしまうことは避けられません。制度とは「皆が従う」ことを前提としているため、個々の事情に応じた柔軟な対応を難しくしてしまうのです。
たとえば、教育制度がなければ「不登校」という概念自体が存在しませんし、福祉制度がなければ、その適用範囲に関する不満や不服も生じないでしょう。一見、個別性を尊重しているように見える特別支援学級の制度も、実際には普通学級と特別支援学級を二分しているだけで、個別対応の限界が浮き彫りになります。
もちろん、社会全体の秩序や安全を守る上で制度が必要である場面もあります。たとえば、刑法や道路交通法は、人々の生活を守るために欠かせない枠組みです。しかし、どのような制度であれ、それが個別性を犠牲にして成り立っているという現実を見逃してはいけないと感じます。
私は、「個別性を重んじる制度」という言葉には矛盾があると考えています。もし本当に個別性を重視するならば、その場その場で臨機応変に対応することが最善の方法でしょう。制度は少ないに越したことはないというのが私の基本的な考えです。
私自身、できる限り制度から距離を取り、目の前にいる人の個別の課題に向き合いたいと思っています。一人ひとりの事情や背景を理解し、その人に合った対応を考えることが、制度の限界を補う道だと信じています。不登校や教育に関する議論をする際も、この視点を忘れずにいたいと考えています。
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