原発性肥満症に対する薬物療法への懸念
昨日、大学時代の友人である内分泌内科医が、原発性肥満症に対する薬物療法を推奨する講演をしていました。
原発性肥満症とは、特に疾患を背景としない通常の肥満を指しますが、私はこの考えに強く反対しています。
食事療法・運動療法の曖昧さ
ガイドラインでは、重度の肥満症を対象に、6ヶ月間の食事療法や運動療法が無効だった場合に、薬物療法や外科療法を検討できるとされています。
しかし、問題は、この「食事療法と運動療法が実施されたかどうか」の判断が非常に曖昧である点です。
精神科でも同様の問題が
これは精神科でも既に問題になっている状況です。
不安症や不眠症の治療では、まず認知行動療法が推奨されますが、実際には多くの医療機関で初回から薬が処方されることがよくあります。
「認知行動療法を試したが効果がなかった」と言っても、その医師が本当に適切な認知行動療法を行ったのかどうかは疑わしい場合もあります。
肥満治療におけるリスク
肥満治療においても、同じ道を辿るのではないかと危惧しています。
薬物療法に偏った治療方針が一般化する前に、まずは食事療法や運動療法に対する動機付け面接をしっかりと行い、治療施設への一定期間の通所記録など、明確な条件を満たした上で薬物療法を導入することが望ましいと考えています。
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