「心のメトロノーム」という表現は、ある患者さんが生み出した興味深い言葉です。メトロノームといえば、音楽の練習で一定のリズムを保つために使われる装置ですが、この患者さんは「社会のメトロノーム」「心のメトロノーム」「身体のメトロノーム」の3つをイメージされていました。「社会のメトロノームに心のメトロノームを合わせ続けた結果、身体のメトロノームを無視してしまい、極度に疲れてしまった」という言葉で、その状態を表現されています。
この表現を聞いた時、ふと思い浮かんだのは、夜遅くまでゲームに没頭し、学校へ行かなくなってしまう高校生の姿です。この場合、問題は「社会のメトロノーム」(登校の習慣)に合わせるかどうかということよりも、「身体のメトロノーム」を無視している、つまり夜に十分な休息を取っていないことにあるのかもしれません。これは以前紹介した「外交と内政のバランス」の話とも通じますが、3者のリズムのズレとして表現された点は、非常に巧みだと感じます。
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