私は、神経症の治療において必ずしも薬が必要であるとは考えていません。実際に、患者さんに「薬を減らしたり、やめてみませんか?」と提案すると、多くの方が「できれば、薬はない方が良いです」とおっしゃいます。このとき、私はこう伝えます。
「薬を手放すことは、車を手放すことに似ています。」
どういうことかというと、神経症において薬は、不快感を和らげ、日々の生活や仕事を楽にしてくれる存在です。しかし、その一方で、薬は本来持っている自分の力で変わっていく力を弱めてしまうことがあります。
車も同じです。車は私たちにとって、重い荷物を運んだり、目的地に早く着く手段として非常に便利なものです。でも、車に頼りすぎると、自分自身の体力や健康が損なわれることがあります。さらに、車が排出するガスは環境にも悪影響を与えています。
薬をやめるということは、より健康的で自然とのつながりを感じながら生きる選択肢を取るということです。しかし、その選択には、生活の中で感じていた「便利さ」を手放す覚悟も必要です。
私はこのような考えのもと、薬を使わない神経症治療を推進しています。現在薬を飲んでいる方が薬をやめるというのは、車の便利さに慣れた人が車を手放すようなものです。もちろん、覚悟は必要ですが、その代わりに得られる自由や心の余裕はとても大きいのです。
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