2024-10

精神医学・精神医療

精神科診断の難しさ

精神科の診断は、身体疾患と違って症状に基づいて行われます。しかし、この「症状」というものは、一口に定義しきれない「裾野の長い山」のようなものです。どこまでを山と呼ぶのか、その範囲をどこで線引きするかによって、診断が異なってくるのです。 まず...
コミュニケーション

「正解」と「多様性」:国語の授業から考える相互理解のあり方

ある患者さんが、小学校時代の国語の授業について話してくれました。そのかたは「作者は何を言いたかったのでしょうか?」という質問にどうも納得がいかなかったそうです。「作者に聞かないと分からない」と感じて、一つの正解に絞られることがしっくりこなか...
人間・社会

制度に頼らない医療のために:医療者と患者、それぞれの責任

制度が複雑化する理由とは? 医療制度は次々に新しい規制が追加され、年々複雑化しています。制度が増える理由の一つには、「規制がないと過剰な行動が生じる」と考える人たちの存在があるでしょう。たとえば、制限速度がなければ危険な速度で車が走るという...
仁泉堂医院

“〜じゃないですかぁ”が妨げる「あるがまま」の生き方

診察の中で、患者さんから時々「〜じゃないですかぁ」という言葉を耳にすることがあります。例えば、「上司には逆らえないじゃないですかぁ」「子育ては大変じゃないですかぁ」「頭痛は辛いから、頭痛薬を飲むしかないじゃないですかぁ」といった表現です。 ...
日常

秋の山で感じる回復の兆し

足首の痛みがずいぶん良くなってきました。実は今週参加予定だったトレイルランニングのレースを見送り、少し残念な気持ちもありますが、長距離のランは脚にかなり負担がかかるもの。慎重に判断しました。 とはいえ、3週間後には今年最後のメインレースが控...
コミュニケーション

「ハシゴ」の比喩と人間関係の豊かさ

ある患者さんとの対話で、印象的なやり取りがありました。その方は、これまでうまくいっていたと感じていた人間関係で、突然「ハシゴを外されたような感覚」になり、これまでの自分の人間関係の結び方に迷いが生じた、と話していました。 私は、「ハシゴをか...
ダイエット

肥満治療と薬物療法:慎重に進むべき理由

原発性肥満症に対する薬物療法への懸念 昨日、大学時代の友人である内分泌内科医が、原発性肥満症に対する薬物療法を推奨する講演をしていました。 原発性肥満症とは、特に疾患を背景としない通常の肥満を指しますが、私はこの考えに強く反対しています。 ...
仁泉堂医院

精神科医の物差し:柔軟な視点が求められる時

「精神科医の物差し」―これは、ある患者さんが使った表現です。精神科医は、教科書や論文から得た知識に加え、研修や経験を積み重ねながら、多様な患者さんを診察する技術を磨いていきます。その過程で、精神科医の「物差し」は、日々の学習や実践によって精...
人間・社会

人生という旅の進め方:目標達成と感覚を味わうバランスの大切さ

人生はしばしば旅に例えられることがあります。先日、旅の楽しみ方に2つのタイプがあるとお伝えしましたが、人生の進め方もまた同様に考えることができるのではないでしょうか。しかし、現代の社会では、どうしても目標達成型に価値が偏りがちだと感じます。...
人間・社会

旅の楽しみ方:感覚を味わうか、目標を達成するか

ある患者さんから旅の報告を聞いて、旅の楽しみ方には大きく二つのタイプがあるように思いました。一つは、感覚を大切にするタイプ。もう一つは、目標達成を重視するタイプです。前者は、寺社仏閣を訪れた際など、その造形美を味わいながら、当時の風景や背景...
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