苦手な相手の前で緊張するのは自然なこと:森田療法の視点

森田療法

今回も、患者さんとの対話を通して得た気づきを共有したいと思います。

「森田療法では『自然であること』が大切です」とお伝えした際、ある方が「苦手な人の前では、自然に話せなくなってしまいます」と言われました。

私はこう答えました。「初めて会う人や苦手な人の前で緊張して、うまく話せなくなるのは、むしろ自然なことです。『誰に対しても同じように話さなければならない』と考える方が不自然なのです」。

この言葉に、その方は「ハッ」と気づかれたようでした。

実際、ひとつひとつの会話は、その時々の関係性や状況に影響されるため、「自然か不自然か」を一概に判断することはできません。むしろその時その瞬間は「すべて自然」なのかもしれません。会話には、緊張して話しづらい時もあれば、リラックスしてスムーズに進む時もある。それが森田療法における「自然」なのです。

森田療法の考えを理解するには、言葉が何を指しているのかを明確に受け取ることが重要です。これは論理階型理論でいう「クラス」と「メンバー」の混同を避けることに通じますが、この理論については、また別の機会にお話ししましょう。

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